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白紙のページに綴るのは、

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――放課後

池袋のとある文房具屋に俺達はいた。
ノートを買うのに付き合ってください、と帝人君に頼まれたからだ。
勿論、交換日記用。

「そんなの俺が幾らでも買ってやるのに」
「自分で買うからいいんです」
「そんなものなの?」
「はい」

帝人君はうんうんと眉を寄せながらノートを選んでいる。
たかがノートなのに、そう思いながらも嬉しく感じているのは事実。


「……よし、」

やがて一冊のノートを手に取ると、「これしよう」と笑った。
帝人君が手にしているのは赤一色のノート。
赤、と言うよりは“紅”と言った方が相応しいかもしれない。
そんなノートを手に帝人君は嬉しそうにしている。
帝人君らしくない選択のような気がして、俺はレジに向かおうとしていた彼を呼び止めていた。

「ねぇ帝人君、それにするの?」
「はい、そうですよ」
「なんで……その色?」
「?……あぁ、これは」


臨也先輩の、眼の色だからです。

そう俺に小さく笑いかけると、とたとたとレジに向かっていく。
その背中を呆然と見つめて、姿が見えなくなったところで漸く意識が戻った。


――本当に彼は、色々と不意打ちすぎる。


嬉しいけど、なんか悔しい。
そんな複雑な気持ちになりながら短く息を吐くと、俺は眼に留まった一冊のノートを手に持ち、帝人君と一緒のレジに向かった。



見えたレジの隣には既に支払いを済ませた彼がいて、紙袋を大事そうに抱えていた。
でも俺の姿を認めると不思議そうに見返してくる。
俺はなにも言わずただ笑い返して、持ってきたノートをレジの店員に渡した。

良く晴れた日の空の色の表紙をした、その一冊のノートを。

「……先輩、それ」

ありがとうございました、という店員の声を背に俺は帝人君の腕を引いて店を出た。
その間も帝人君はあの、とかその、とか呟いている。
気付いちゃったかな、かなり恥ずかしいかも。
でも、帝人君がせっかく、ね。

「………二冊、」
「ふぇ、?」
「二冊は最低続けようね」
「っ……」

振り向きざまにそう言えば、帝人君は元々大きな瞳をもっと大きくさせる。
そして、


「……はいっ」


これ以上はないのでは、というほど嬉しそうに返事をして、きゅっと俺の学ランを握った。




白紙のページに綴るのは、
(一番のキミに伝えたいこと)