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君が好きだよ。

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俺の一つの作戦は見事に失敗した。


帝人くんは俺のことが好きだ。
それは絶対的な確信。

俺も帝人くんが好きだ。
そう、俺たちはおそらくきっとたぶん両想いってやつなんだろう。

だから俺としては早く告白して欲しかった。
俺を欲しがってほしくて。
俺なりに優しくして、ふざけ半分本気半分で『愛してる』とか言ったりして、
慎重な帝人くんが自信持って告白出来る舞台を整えたつもりだった。

のに、いつまで待っても、帝人くんは言わない。
焦らされてるようで俺は堪らなくなった。
いっそ俺から言ってしまおうかと思ったけど、恥ずかしがりの帝人くんのことだ、告白のチャンスを逃したらもう一生俺に愛を囁くことなんてないかもしれない。

一言で良いんだよ。

『臨也さんが好きです。』とか、
『臨也さん、大好き。』とか、
『愛してます。』とか、

もういっそぶっ飛んで

『僕を抱いて』とかでも良い。(むしろコレが良い!)

けれど待てど暮らせど帝人くんからのアクションは無かった。

だから俺は「押してダメなら引いてみろ」ってことでしばらく連絡を取らなかった。

帝人くんからのラブコールを待ってみて2週間。
触れられない、声も聞けない状況に狂いそうになったのは俺の方だ。

これじゃ俺ばっかり好きみたいじゃないかっ。

だから、作戦を立てた。

といってもとても簡単なものだ。

帝人くんとのデートで待ち合わせ時間に遅れる。
それだけじゃない、親密そうな女性を隣に連れて現れる。

適当に口説いてお金を払って雇っただけの女性を連れて、俺はわくわくしていた。

きっと帝人くんのことを少し傷つけてしまうかもしれない。
だけど帝人くんが泣いたり怒ったりしたらすぐにバラして『俺が好きなのは帝人くんに決まってるでしょ。』と言ってあげるんだ。

後はもうめくるめく薔薇色の世界だよ。


なんて、俺の計算は見事に狂った。
さすがは帝人くん、単純そうに見えて一筋縄じゃいかないよね。

顔色一つ変えず俺たちを見た帝人くんの頬が赤く染まったのは、その女が帝人くんに声かけたときだ。

ちょ、何それ。なんでそこで赤くなるわけ。
俺の方がヤキモチ妬かされて、すぐに女を帰した。
不機嫌そのままに歩いて、帝人くんからは『俺の恋人』の褒め言葉しか出て来ない。
なんで恋人確定なわけ?それ本気で言ってるわけじゃないよね?
さらに苛立つ。

人と人の間を抜けると、突然後ろにくいっと引っ張られた。

見ると、帝人くんが俺の服の裾を掴んでいた。
人ごみに逸れそうになったのか。俺は思いやれなかった自分に悔いつつ、頭を下げて謝る帝人くんが可愛くてたまらなかった。

俺の服を掴んだその手が離れてくのが名残惜しい。
ああ、もう、此処で押し倒して引ん剥いてしまいたい。
君が好きすぎておかしくなりそう。

はやる気持ちを抑えて、手を繋ごうかと提案したら、拒否された。

っ。
今日の作戦はほんとに大失敗だ。
きっとあの女なんて連れて来なけりゃ、帝人くんも此処まで遠慮しなかった。

映画も失敗した。

でも帝人くんは気に入ってくれたみたいだ。まぁ、帝人くんが好きそうなの選んだんだけど。
潤んだ瞳がたまらなく愛しい。
でも、それが自分じゃなくて画面に向けられてることは面白くない。

最後、お茶して映画の感想なんか話しながら、
帝人くんに言った。

もう、意地悪しないでちゃんと俺に言って欲しい、平気な振りなんてしないで、
ヤキモチ妬いたって。
せめて「僕が居るのにあの女性はなんなんですか?」くらいあるでしょ。

「俺に言いたいこと、ない?」



しばらくの沈黙。
帝人くんの顔色が悪くなった。
俺は予想外の反応に動揺して、声をかけようとしたら、帝人くんがやっと話し始める。

「それって…その、・・・やっぱり、もう一緒に出かけたり、出来ないってこと、ですよね。」



はい?



折原臨也、生きてきて初めて、本当に意味のわからない発言に出会いました。

「帝人くん…?」
「もう、恋人が出来たから、…付きまとうなってことです、よ、ね。」

いや、いやいやいやいやいや!
いつ、何時何分何十秒!?帝人くんが俺につきまとってくれたことがあっただろうか、否、無い。

俺は余りのことにパニックになる。
頭の中を整理してるうちに、帝人くんは答えを出したみたいだ。

「最後に、言うチャンスをくださって、ありがとうございます。」


「臨也さんが、好きでした。」


完。








って、過去形になっちゃったよ!!??
告白完結しちゃってるんだけど、ねぇ?これ、どういうこと??

「帝人くん!」

俯いてた顔をどうにか上げた帝人くんは半泣きだった。
ああ、もう、可愛いな、チクショゥ!

「もしかして、何もわかってないの?」
「ぼ、ぼく、ばかだか、ら…。」
ふぇっ、と帝人くんの目にさらに涙が滲む。

「い、臨也さんが、迷惑がってるのにも、き、気付けなっ…。」
「ちょ、ストップ!!」

「い、一から話そうか…。」

コクンと頷いた帝人くんの目からポタポタッと涙が落ちる。

さぁ、何から君に伝えようか。
とりあえず、



「帝人くんが好きだよ。」

これが、最優先事項だ。
作品名:君が好きだよ。 作家名:阿古屋珠