【臨帝】おはようから、おやすみまで【腐向】
「…っ」
閉じた瞼の向こうに明るさを感じ、朝を迎えているんだとおぼろげに思う。
もしかしたらすっかり日が高くなっている頃かもしれない。
しかし帝人は身を預けているキングサイズのベッドの上でまどろんでおり、目を開ける事が出来ずにいた。
今も帝人に腕枕をしている恋人――臨也と昨晩散々愛を確かめ合い貪欲に貪られた余韻で、全身が倦怠感に包まれていたせいである。
お陰で暖かく心地いい布団の誘惑から逃れる事が出来ず、惰眠を貪っている。
今日は折角の日曜。
しかも多忙で時間を空けてくれなかった臨也が、漸く休みを作ってくれた特別な日曜なのだ。
早く起きなければいけないと脳が指令を出しても、身体が言う事を利かなくて。帝人は内心で軽い焦燥感を覚える。
今日という日を、すごくすごく、楽しみにしていたのに。
こうして眠っている時間が、勿体無いのに。
でも、ふわふわの布団と臨也の腕枕が気持ちよくて堪らず、動けなかった。
――日曜の時間を、帝人君にあげる。俺を好きにしていいよ?
なんて大胆不敵に笑み綺麗な笑顔を作りながら、腰が砕けそうな美声で囁かれてから。
帝人は与えられた時間、恋人とどう過ごすか思考を巡らせていた。
あそこにも、ここにも連れて行って欲しい。
色々プランを考えたけれど、滅多に無い機会を与えられたせいで欲張りになってしまい迷ってしまって、結論が出せなかった。
どうせなら臨也の要望も聞いてみようと思い声をかけたが、「俺は帝人君と一緒なら、何処だっていいよ」の一点張りだった。
とりあえず土曜日は臨也のマンションに泊まりに行く事が決まっていたから、日曜の朝に眼が覚めてから。
その日の気分でデートコースを決めようと思っていたのに。
翌日が休みで思いっきり無理が出来るじゃないかと天使のような笑みを浮かべた臨也に、悪魔のごとく鬼畜なセックスを強要されていたのだった。
とはいえ、所謂大人の玩具で悪戯をされていただけだけなのだが。
性の知識に疎い初心な帝人にとっては、衝撃的なものだったのである。
卑猥な形をした異物を埋め込まれるなんて恐ろしくて、「怖いです、嫌です…!」と泣きながら懇願したにもかかわらず、臨也は酷く楽しげな笑みを浮かべ嬉々として帝人を弄んでいた。
酷いことばっかりされたけれど、最後には。
優しいキスの雨を降らせながら甘い愛の言葉を惜しみなく送り帝人を満たし、温かな腕に抱きしめてくれた。
このギャップが毎回毎回、帝人に動揺とときめきを与える。
そして沢山苛められながらも自分を求めてくれる事に、喜びを見い出していて。
臨也とのセックスの味に溺れ、すっかり酔いしれて甘美な誘いを断る事が出来ずにいたのだった。
もぞもぞと身じろぎをしてみれば自分を抱きしめている恋人が、長い指を滑らせ優しい手つきで髪を梳かしてくれる。
そうされると甘やかされている事が嬉しくて、気持ちが良くて。
帝人は飼い主に甘える猫さながらに、そっと頭をこすり付けていた。
「帝人君、寝てるの?」
「…」
「よく寝てるね。そんなに俺に抱っこされてるのが、気持ち良いのかなぁ?」
「……」
クスクスと軽笑いが混じっているものの、相変わらずに悩ましげな美声で囁きかけられて、帝人の胸がくすぐられる。
(やっぱり、いい声だなぁ…。いや、エロイ声?)
なんてドキドキと小さな胸を騒がせていたが、やっぱり布団と温かな腕の誘惑が帝人を逃がしてくれない。
もうちょっとだけこの気持ち良い余韻に浸っていたいと、帝人は全身から力を抜いた。
「帝人君、可愛いね。好きだよ、愛してる…」
耳元に唇を寄せた臨也が、小鳥の羽でくすぐるように密やかな声音で甘い愛の言葉を囁きかけてくる。
剥き出しのおでこや、頬に。
軽いキスを幾度も振舞われ渇いたリップ音が響く度、帝人の全身がきゅんと疼く。
とくん、とくんと高鳴る胸の鼓動が臨也にまで聞こえそうだと思い、身を固くしていた。
「お姫様は王子様のキスで、目が覚める筈なんだけど…俺のお姫様は、起きないなぁ」
聞いていて恥ずかしい台詞だが、艶めいた美声を持つ臨也が吐き出せば、ドラマのワンシーンのように様になるもので。
眼を瞑っているのに現在の情景が浮かんでくるものだから、不思議だった。
ちゅっ。と唇に熱いキスを落とされて、帝人の全身がぞくんと震えた。
猫がミルクを舐めるようにチロチロと、熱く尖った舌先で唇を舐め上げられ下腹部がずくんと、疼き出す。
今更眼を開ける事なんて出来なくて、帝人は臨也が離れていくのを只ひたすらに待っていた。
「起きないと、悪戯しちゃうよ?」
「…」
「そっかぁ。そんなに昨日の玩具気に入ったんだぁ」
「……」
突然そう告げられてた事で、大人の玩具がもたらした快感と臨也の官能的な言葉責めの数々を思い出してしまい、頬に熱が篭る。
昨晩浅ましく身悶えていた自分の痴態が頭を過ぎり、帝人は全身を熱くさせてしまっていた。
ここまで取り乱した状態で今まさしく目を覚ましたフリをするなんて、不器用な自分には出来そうに無い。
ばくばくと煩く騒いでいる心臓が落ち着いたら目を開けようと帝人が思った、瞬間。
「まっ、凄く感じてたしねぇ~帝人君って、本当…エッチな子だよねぇ」
「や、違いますっ!」
臨也の過激な発言に混乱を極めた帝人はガバっと起き上がり、羞恥に頬を赤らめつつ悲鳴にも似た叫びを上げた。
見下ろす先にいる臨也は怜悧な美貌を綻ばせ、ニヤリと不敵な笑みを貼り付けている。
楽しげに弧を描く薄い唇に、しまったと思ったがもう手遅れだった。
「狸寝入りが、下手だよねぇ…」
「…っ!」
くっくっと笑いながら上体を起こした臨也に羞恥を覚えた帝人は、臨也から視線を逸らし俯く。
「い、何時から気付いてたんですか?」
「寝てるの?って言う前から」
「臨也さんって、本当に良い性格してますよね…!」
「そう。優しいでしょ?俺。身体中ベトベトに汚れてる帝人君を綺麗にしてあげて、着替えまでさせてあげてさぁ」
「え、あれ?これって…」
そういえば意識が薄くなる前不快感を抱いていた全身の汚れは拭われており、帝人の身体は綺麗にされていた。
全裸だったはずの帝人は白いYシャツを着せられており、臨也の世話になったのだと悟る。
Yシャツは随分と余裕があり特に袖が長く、袖口から指先が覗くほどダボダボなもので。
さらりとした肌触りの生地は、帝人が日頃着込んでいる制服のシャツなんかと比べ物にならない程良い仕立てのものだった。
「そっ。俺のシャツ」
「すいません、服借りちゃって…それに、あの、その…」
「なーに?」
「身体、綺麗にしてもらって、有難う御座います…」
どれだけ自分の身体が汚れていたか覚えているし、その汚れの原因が自分と臨也の精液である事も判っている。
しかもセックスに興じている内に気分が高揚して大胆になった帝人は、臨也に自分から口淫を仕掛けたことまで思い出した。
その際、思いっきり顔に精液をぶっ掛けられた事までを思い出せば、恥ずかしくてたまらない。
「ああ。いいって。しかし昨日の帝人君、可愛かったなぁ~一生懸命フェラしてるのとか、堪らなかったねぇ。あの下手さがまた、いいねぇ」
閉じた瞼の向こうに明るさを感じ、朝を迎えているんだとおぼろげに思う。
もしかしたらすっかり日が高くなっている頃かもしれない。
しかし帝人は身を預けているキングサイズのベッドの上でまどろんでおり、目を開ける事が出来ずにいた。
今も帝人に腕枕をしている恋人――臨也と昨晩散々愛を確かめ合い貪欲に貪られた余韻で、全身が倦怠感に包まれていたせいである。
お陰で暖かく心地いい布団の誘惑から逃れる事が出来ず、惰眠を貪っている。
今日は折角の日曜。
しかも多忙で時間を空けてくれなかった臨也が、漸く休みを作ってくれた特別な日曜なのだ。
早く起きなければいけないと脳が指令を出しても、身体が言う事を利かなくて。帝人は内心で軽い焦燥感を覚える。
今日という日を、すごくすごく、楽しみにしていたのに。
こうして眠っている時間が、勿体無いのに。
でも、ふわふわの布団と臨也の腕枕が気持ちよくて堪らず、動けなかった。
――日曜の時間を、帝人君にあげる。俺を好きにしていいよ?
なんて大胆不敵に笑み綺麗な笑顔を作りながら、腰が砕けそうな美声で囁かれてから。
帝人は与えられた時間、恋人とどう過ごすか思考を巡らせていた。
あそこにも、ここにも連れて行って欲しい。
色々プランを考えたけれど、滅多に無い機会を与えられたせいで欲張りになってしまい迷ってしまって、結論が出せなかった。
どうせなら臨也の要望も聞いてみようと思い声をかけたが、「俺は帝人君と一緒なら、何処だっていいよ」の一点張りだった。
とりあえず土曜日は臨也のマンションに泊まりに行く事が決まっていたから、日曜の朝に眼が覚めてから。
その日の気分でデートコースを決めようと思っていたのに。
翌日が休みで思いっきり無理が出来るじゃないかと天使のような笑みを浮かべた臨也に、悪魔のごとく鬼畜なセックスを強要されていたのだった。
とはいえ、所謂大人の玩具で悪戯をされていただけだけなのだが。
性の知識に疎い初心な帝人にとっては、衝撃的なものだったのである。
卑猥な形をした異物を埋め込まれるなんて恐ろしくて、「怖いです、嫌です…!」と泣きながら懇願したにもかかわらず、臨也は酷く楽しげな笑みを浮かべ嬉々として帝人を弄んでいた。
酷いことばっかりされたけれど、最後には。
優しいキスの雨を降らせながら甘い愛の言葉を惜しみなく送り帝人を満たし、温かな腕に抱きしめてくれた。
このギャップが毎回毎回、帝人に動揺とときめきを与える。
そして沢山苛められながらも自分を求めてくれる事に、喜びを見い出していて。
臨也とのセックスの味に溺れ、すっかり酔いしれて甘美な誘いを断る事が出来ずにいたのだった。
もぞもぞと身じろぎをしてみれば自分を抱きしめている恋人が、長い指を滑らせ優しい手つきで髪を梳かしてくれる。
そうされると甘やかされている事が嬉しくて、気持ちが良くて。
帝人は飼い主に甘える猫さながらに、そっと頭をこすり付けていた。
「帝人君、寝てるの?」
「…」
「よく寝てるね。そんなに俺に抱っこされてるのが、気持ち良いのかなぁ?」
「……」
クスクスと軽笑いが混じっているものの、相変わらずに悩ましげな美声で囁きかけられて、帝人の胸がくすぐられる。
(やっぱり、いい声だなぁ…。いや、エロイ声?)
なんてドキドキと小さな胸を騒がせていたが、やっぱり布団と温かな腕の誘惑が帝人を逃がしてくれない。
もうちょっとだけこの気持ち良い余韻に浸っていたいと、帝人は全身から力を抜いた。
「帝人君、可愛いね。好きだよ、愛してる…」
耳元に唇を寄せた臨也が、小鳥の羽でくすぐるように密やかな声音で甘い愛の言葉を囁きかけてくる。
剥き出しのおでこや、頬に。
軽いキスを幾度も振舞われ渇いたリップ音が響く度、帝人の全身がきゅんと疼く。
とくん、とくんと高鳴る胸の鼓動が臨也にまで聞こえそうだと思い、身を固くしていた。
「お姫様は王子様のキスで、目が覚める筈なんだけど…俺のお姫様は、起きないなぁ」
聞いていて恥ずかしい台詞だが、艶めいた美声を持つ臨也が吐き出せば、ドラマのワンシーンのように様になるもので。
眼を瞑っているのに現在の情景が浮かんでくるものだから、不思議だった。
ちゅっ。と唇に熱いキスを落とされて、帝人の全身がぞくんと震えた。
猫がミルクを舐めるようにチロチロと、熱く尖った舌先で唇を舐め上げられ下腹部がずくんと、疼き出す。
今更眼を開ける事なんて出来なくて、帝人は臨也が離れていくのを只ひたすらに待っていた。
「起きないと、悪戯しちゃうよ?」
「…」
「そっかぁ。そんなに昨日の玩具気に入ったんだぁ」
「……」
突然そう告げられてた事で、大人の玩具がもたらした快感と臨也の官能的な言葉責めの数々を思い出してしまい、頬に熱が篭る。
昨晩浅ましく身悶えていた自分の痴態が頭を過ぎり、帝人は全身を熱くさせてしまっていた。
ここまで取り乱した状態で今まさしく目を覚ましたフリをするなんて、不器用な自分には出来そうに無い。
ばくばくと煩く騒いでいる心臓が落ち着いたら目を開けようと帝人が思った、瞬間。
「まっ、凄く感じてたしねぇ~帝人君って、本当…エッチな子だよねぇ」
「や、違いますっ!」
臨也の過激な発言に混乱を極めた帝人はガバっと起き上がり、羞恥に頬を赤らめつつ悲鳴にも似た叫びを上げた。
見下ろす先にいる臨也は怜悧な美貌を綻ばせ、ニヤリと不敵な笑みを貼り付けている。
楽しげに弧を描く薄い唇に、しまったと思ったがもう手遅れだった。
「狸寝入りが、下手だよねぇ…」
「…っ!」
くっくっと笑いながら上体を起こした臨也に羞恥を覚えた帝人は、臨也から視線を逸らし俯く。
「い、何時から気付いてたんですか?」
「寝てるの?って言う前から」
「臨也さんって、本当に良い性格してますよね…!」
「そう。優しいでしょ?俺。身体中ベトベトに汚れてる帝人君を綺麗にしてあげて、着替えまでさせてあげてさぁ」
「え、あれ?これって…」
そういえば意識が薄くなる前不快感を抱いていた全身の汚れは拭われており、帝人の身体は綺麗にされていた。
全裸だったはずの帝人は白いYシャツを着せられており、臨也の世話になったのだと悟る。
Yシャツは随分と余裕があり特に袖が長く、袖口から指先が覗くほどダボダボなもので。
さらりとした肌触りの生地は、帝人が日頃着込んでいる制服のシャツなんかと比べ物にならない程良い仕立てのものだった。
「そっ。俺のシャツ」
「すいません、服借りちゃって…それに、あの、その…」
「なーに?」
「身体、綺麗にしてもらって、有難う御座います…」
どれだけ自分の身体が汚れていたか覚えているし、その汚れの原因が自分と臨也の精液である事も判っている。
しかもセックスに興じている内に気分が高揚して大胆になった帝人は、臨也に自分から口淫を仕掛けたことまで思い出した。
その際、思いっきり顔に精液をぶっ掛けられた事までを思い出せば、恥ずかしくてたまらない。
「ああ。いいって。しかし昨日の帝人君、可愛かったなぁ~一生懸命フェラしてるのとか、堪らなかったねぇ。あの下手さがまた、いいねぇ」
作品名:【臨帝】おはようから、おやすみまで【腐向】 作家名:かいり