ゲームをする親分子分と島国
「いいか、しっかりサポートしろよな」
「あい」
ぐっと手の内にあるリモコンを握りしめたロマーノがやけに真剣な顔してスペインへ念押しをする。そんなロマーノの様子になんとなく気圧されたスペインも同じようにリモコンを握りしめた状態で神妙な顔して頷いて見せた。
よし、とロマーノも頷き視線がブラックアウトしていた液晶テレビの画面へ移動する。テレビは主電源を入れて、ゲーム機も起動させて準備は万端。
ゲームのタイトル画面が映し出され、ロマーノの表情がますます真面目さを帯びていく。ソファに座ってて隣り合っていたスペインは、ロマーノを横目に見て、会議中でもこないな真面目な顔せんのになあと呑気なことを考えながらリモコンコントローラーをくるりと一振りしたのだった。
「だあああぁぁぁっ、おいスペインてめえ何回いったら分かるんだこの野郎っ!」
「そんな怒られても親分これ苦手なんやもん。ロマーノ手厳しいでっ」
「手厳しいわけあるかっ!Aボタン押して、敵を足止めするだけだろうが!」
「やって、タイミングがむつかしいんやもん」
ソファから立ち上がって叫ぶロマーノにスペインがほとほと困った顔をして情けない声を出す。まなじりを吊り上げ苛立ちを顕わにするロマーノのゲーム進行は現在、開始してから大して進んでいないという状況だ。というのも、ロマーノ自身が操作キャラクターの扱いに長けているわけでもないことに加え、スペインのサポートにならないサポート(半分足を引っ張っている感じだ)のお陰でステージをクリア出来ずにいるわけで。基本的に気が長い方ではないロマーノがキレるのも時間の問題だったわけで。
スペインは無駄にボタンを連打して歓声やブーイングの音を出しながら、
「ロマー、親分は別のゲームがしたいです」
「だが断わる!」
「……それ日本の受け売り?」
「うっせ、それよりも早くやるぞ!」
「うえぇ俺もう手首釣りそうや…」
「ぐだぐだ抜かしてんじゃねえっ」
ソファにぐたりと倒れ込むスペインの頭を叩いたロマーノはステージを選択し、意気込む。
「覚悟しろよ、このクソワンワン野郎!」
———その後。
「あっ、てめ、スペイン!ちゃんとワンワン止めやがれ!」
「あえぇ、だってさっきは止めるなっていったやん」
「うるせえ!今はいまだコノヤロー!お前の所為で無駄に死んじまったじゃねえか!スイッチ踏むまでそこで止めとけっつったんだよ!」
「そんなこといったって、親分これむつかしいやもん。勘弁したってー」
「勘弁しねえよ!ほら、もっかいやるぞ!!!ぜってえ意地でもクリアしてやる…!」
「徹夜する気かいなロマ」
「徹夜も厭わねえ」
「……親分ねむいんやけど」
「寝たら頭突き…あああ!だからそこで押えろっていってんだろ!あーぁ…また死んだ」
「今度、日本よぼか」
作品名:ゲームをする親分子分と島国 作家名:アキ