二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ゲームをする親分子分と島国

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 




インターホンの音が響きわたり、来客を告げる。
 スペインは椅子から立ち上がると来客を迎えるために玄関へ向かう。その彼の向かい側でテーブルを挟み、座ってマグカップを両手で包み込んでホットチョコレートを飲んでいたロマーノも後に続く。
 いまインターホンを鳴らしたのは、こちらが呼び寄せた客人だろうと予想を立てて。笑顔でドアを開け放ち、そしてそのままスペインが音を立てて固まった(後ろにいたロマーノにはそのように見えた)。
「こんにちは、スペインさん。お招きいただいて有難うございました」
「……」
「……」
 スペイン越しに落ち着いた低音の日本の声がする。やはり来客は日本だったか。それなのになぜスペインはフリーズしたのだろう。スペインの身体に遮られていてロマーノには玄関先の来客が見えない。焦れたロマーノはスペインを押しのけて———
「ロマーノ君も、こんにちは」
 にこり、と日本が笑いかけてくれたがそれよりなにより。彼の隣に立った存在のインパクトが強すぎた。
 特徴的な眉毛をした金髪の青年。
 スペインが最も嫌いとする相手であり、ロマーノが最も苦手とする国。
「……なんでイギリスがここにおんねん」
 笑顔で固まっていたスペインが再起を始め、みるみるうちに太陽みたいな笑顔が悪雲立ち込めそうな不機嫌顔へと移り変わる。絶叫こそしなかったものの、ロマーノも似たような心境で、そろり、とスペインの背中に隠れる始末だ。
 顔合わせの挨拶という行為を奇麗にスルーした展開に空気を読むことに長けた日本が慌てて口を挟んだ。
「あ、あの、イギリスさんは、スペインさんからご連絡いただいた時にたまたま私と居りまして。ご迷惑でなければこのままご一緒させていただきたいと……———」
「俺は迷惑やないけど。そちらさんは随分嫌そうな顔してるで?」
「ふん、日本がスペインの家に行くなんていわなきゃ、死んでも来ねえよ」
「日本が来るいうても、お前が来なければ済んだ話やんかー。なに、脳みそ腐って考えられへんかった?残念な頭やなあ」
「黙れトマト脳みそが。手前にそんな貶される覚えはねえよ。そもそもなんの用があって日本を呼びだしてんだよ」
「それこそイギリスに口出しされる筋合いないわあ。俺が日本となにしようと、変態紳士には関係あらへんやろ」
「誰が変態だペド野郎」
「うん?もっかいいうて、親分、一瞬耳遠くなって聞こえなかったわ」
「———あのっ」
 永遠と続きそうな応酬に日本が耐えきれず声を張り上げ遮った。同時に、二対のみどりいろの双眸が日本へ向けられる。その視線に思わずうろたえかけたが、日本はそれをぐっと堪えて笑顔を作った。
「玄関先では少々身体が冷えてきましたので、もしよろしければ中へ入れていただけませんか?」
 日本の言葉に、スペインは今気づいたかのように瞳をぱちりと瞬かせて、そらすまんかったなー、といって身体を横にずらし、招いた客人と招かれざる客人を家へ迎えいれた。
 イギリスが追い返されるのではと冷や冷やしていたのであろう日本が、スペインが嫌々ながらも家へ上げたことにホッと息を吐く日本に、ロマーノは苦労人なヤツと密かに同情をした。



「———で、お前らが日本を呼んだ理由がこれか」
 ひくり、と眉毛をひきつらせて腕を組んだイギリスに、スペインはのんびりと答える。
「ゲームといえば、日本やろ。なんやっけ、チーク?」
「チートだ、あほスペイン」
 ロマーノが突っ込みつつ、苦笑を滲ませる日本にちょいちょい手招きをしてリモコンコントローラーを手渡す。受け取った日本は感覚を確かめるようにリモコンを握り直すと、どこが出来ないんですか?とロマーノに訊ねた。
「あぁ、ここですか。確かにここは厄介ですね。少々お待ちください」
 日本はそういうと、リモコンを鮮やかに操りロマーノが苦戦していた部分をあっという間に突破してステージをクリアしてしまった。ものの二、三分で終えてしまうのは日本ならではなのだろうか。悔しさと尊敬で複雑な心境のまま返されたコントローラーを握り、ロマーノは眉をしかめた。
「おや……?」
と、日本が声を上げたので視線をそちらに向けると、彼の手には対戦ゲームのソフトがあった。
「それやるか?」
「折角四人いてコントローラーも四つあることですし、みなさんで一回いかかですか?」
「俺は別にいいけど……」
「楽しそうやなあ。それ、相手をひとりに限定してフルボッコとか出来るん?」
「上等だトマト野郎。受けて立つぜその喧嘩」
 ほわんとした笑顔で宣戦布告をしたスペインの台詞にイギリスも普段人前では見せることのない爽やかな笑顔を浮かべて拳を握っている。
 日本はあはは、と乾いた声で笑いつつもコントローラーを準備してふたりに手渡し、状況に呆れているロマーノにそっと耳打ちをした。
「ややこしい事態にしてしまい、申し訳ありませんでした」
「……べ、別に気にしてねえよ」
 すぐ近くにある黒曜石色の双眸に見つめられ、ロマーノは高鳴る胸を誤魔化すようにパッと顔をそらしてぶっきらぼうにいった。その彼の鼓膜へ、小さく笑いながら有難うございますと告げる日本の柔らかな声が響いた。


以下、ゲーム中の四人。


「いややわあ、この丸いの親分が使いたいんや!ロマ譲ってー!」
「っ、ガキかてめーは!なんでそんなにコレにこだわるんだよっ!」
「トマトみたいやんか!」
「……何に対しても基準がトマトなんですね」
「阿呆だろ」
「ちぎー!わぁったから、ほら、これでいいんだろチクショ—が!」
「ロマ優しいなあ、おおきに!」
「俺はこれでいい」
「おや、剣士タイプがお好みですか?」
「なんとなく、使いやすそうだからな」
「なるほど。ロマーノ君はどれに変えるのですか?」
「……これでいい」
「ほぅほぅ」
「なんだよ日本、なんかあるのか」
「いえいえ。やはり選ばれるキャラクターに性格が滲んでいて面白いなあと思いまして」
「そういう日本は可愛らしいのを使うんだな。俺の家でもはやったゲームのキャラクターだよな」
「えぇ、我が国でも根強い人気を誇る作品の代表的なキャラクターですね。ピカピー!」

((かっ…わ!))



「ああああああああああこの野郎、いい加減ハメ技使うの止めやがれ!正々堂々こいよ!」
「これも戦略です—」
「ふざけやがってトマト星人が」
「トマト舐めたら怖い目みるで?トマトマ攻撃してやんよ?」
「よし分かった、おもて出ろスペイン」
「嫌やわあ、野蛮人怖いわあ」
「あっ、日本ここぞとばかりにアイテム拾いまくってんじゃねえ!」
「アイテムは拾ってこそですからね」
「あああクソっ、そのハンマー当たったらあああああぁぁぁ…」
「ロマ、お星様になったな」
「うるせー馬鹿スペイン!てめーなんか何回自殺してんだよ!」
「やって、上手く動かないんやもん—。でもこれ楽しいで。上から石になって落ちるのなー」
「?!」
「あ、イギリスさんそれはボム兵……遅かったですね」
「くそっ…」










島国参戦の分は単に親分とイギギを喧嘩させたかっただけともいう