モノクロに彩られた夢
杏里に向けていた表情とは打って変わり、酷薄さを滲ませた低い声で、彼の仲間達に呼びかける。今まで杏里と青葉を密かに取り囲んでいた男達が、ぞろぞろとあちこちから現れては去っていく。
杏里は、微動だにせずそれを見つめていた。
「じゃあ、杏里先輩も気をつけて。何かあったら連絡してくれていいですよ」
ひらひらと無骨な手を振って、彼は背を向けた。
闇に沈みきった街の中、どこをどう歩いて帰宅したのか、彼女は覚えていない。
ーそして、あと十分後、自失状態のまま辿り付いた自宅で、彼女は一通のメールに気づく。
画面に映しだされる名前は、彼女をさらに混乱させるに十分なものだった。
不安と混乱の中、彼女は感じとっていた。
完全な世界がもどってくる。
そのとき、愛と夢に狂った刀は、檻の錠になるだろう。
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1000001colors を聞いてたまらなくなって書きました。
あのきれいな曲がどうしてこうもどろどろしたお話になるのか。
青葉そういえば美術部だったとか、帝人くんは傷だらけで痛々しいのが愛しいとかいろいろ考えてたらこうなった。
続編はあるようなないような。杏里ちゃんでてこないただの青帝になるので。
臨帝波は神作家さんがたくさんいらっしゃるのに、なぜ青帝杏と静帝茜はマイナーなんだ。
というわけで書いてみた。最近は帝人くん受けや戦争サンドはメジャーになってきたというのに、ひたすら茨道進みますよ。
やっぱ静帝茜といい、女の子挟んだサンドはおいしいね!
作品名:モノクロに彩られた夢 作家名:川野礼