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忌み子 鬼 化け物 「俺は人間だよな、松陽先生・・・。」

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斬って斬って斬って、後に残るのは屍と血だけだ。
鼻につく死臭。
視界を漂う黒煙。
それでも斬った。
斬って殺した。
殺して殺して殺して、いったい何になる?
戦争とはそういうものなのだろう。
だけど、幕府はもう天人にひれ伏した。
もう負け戦だ。
戦う意味など、もうないのだ。
なのに、戦う。
無意味に仲間が死んでいく。
こんな世界、いらない。
そう何度思ったか。
それでも仲間がいたから、俺は・・・
なのに、仲間も手から零れ落ちていく。
「引くぞ、俺たちの負けだ。」
桂がそう言った。
敵はもう引いた。
「あぁ・・・・。」
俺はそう返事をした。
命を落とした仲間が恨めしそうにこちらをみている。
「銀時、行くぞ。」
と言って高杉が俺を引きずるようにしてあるく。
高杉のほうが俺よりも重症なのに。
高杉の手を引っ張り自分の肩にかけ、今度は俺が高杉を引きずって歩く。
「怪我人扱いするな!」
高杉がそううなった。
「はっ、怪我人だろ?」
俺がそう鼻で笑うと桂も高杉も坂本も安心したように笑った。
俺のことを心配でもしたのだろう。
「最前線にたってるのに、ほぼ無傷ってどうよ。」
俺がそう小声で誰となく呟くと高杉が
「長生きできるじゃねぇか。」
そう笑った。
「憎まれっ子世にはばかるってか?」
俺もそう笑う。
俺たちは負けた。
幕府に見捨てられた。
そのせいで同胞が仲間がたくさん死んだ。
「何泣いてんだ?」
笑いながら桂に俺は声をかけた。
「泣いてなどいないわ!これは、これはその・・・・煙が目にしみるんだ!」
桂は言い訳とは言えない言い訳をした。
「銀時、お前もだろ?」
高杉がそう言うと銀時は
「あ?これは俺の涙じゃねぇよ。つか高杉てめぇって坂本もじゃねぇか。
 ここは通夜か?葬式か?」
そう悪態をついた。
「人のこと言えない奴が悪態ついてるぜよ。」
坂本がそう泣きながら笑うと俺は一言
「俺たちは生きてる」
そう言った。
「あぁ」「そうだな」「生きてるぜよ」
高杉・桂・坂本がそうそれぞれ返した。
「今はそれだけで十分だ。後悔とかは後からでいい。」
俺がそう言うと誰もが無言で同意した。

そうだ、俺達は生きてる。
逆に言えば俺たちしか生きていない。
他の者は屍となっている。
でも俺達は生きている。
生きているんだ・・・・。


「お前のせいで松陽は死んだ!」   「何でお前だけ生きている!」

         「お前さえいなければ!」
                       「鬼!」
   「忌み子が生きているから周りの者は死ぬんだ」

 「死ね!」
                      「人殺し!」
       「何人殺したんだ?」
                        「仲間はお前のせいで皆死ぬ!」


      「あなたのせいで私は死んだのですよ?」
「嘘だ!」
バッと目を覚ますと朝になっていた。
最後の言葉・・・松陽先生だった。
それまでの言葉は今まで言われてた言葉?それとお思われてた言葉?
いや、夢は夢だ。
「くそ、涙まで出てやがる・・。」
そう服の袖で涙をぬぐい、鏡で後がないか確かめた。
俺も夢見て泣くなんて女々しいもんだな。
そう自嘲的に笑っていると神楽がペタペタと歩きながら目をこすっていた。
「銀ちゃん・・・朝からうるさいネ・・・・・何が嘘アルカ?」
神楽がそう眠そうにしながら聞いてきた。
起こしちまったか・・・。
「あぁ?寝ぼけてんのか?何も言ってねぇぞ。」
そう言うと神楽はなっとくしたようだった。
「空耳アルカ。」
「さっさと着替えて来い。」
そう言うとまたペタペタ歩きながら俺の部屋から出て行った。
ふすまが閉まったのをみて、俺も着替えることにした。

「銀さん、機嫌悪くないですか?」「朝からずっと悪いネ。」
新八と神楽がボソボソ話してるのが聞こえた。
「あ?機嫌なんかいつもこんなもんだ。」
そう言うと新八が
「地獄耳ですね。というか機嫌悪いですよ。夢見でも悪かったんですか?」
真面目な顔で聞いてきた。
「地獄耳も何もこんな近くで話してたら聞こえるっつうの。夢見か…夢見は・・・。」
『あなたのせいで私は死んだのですよ?』
「銀ちゃん?」「銀さん?」
「夢なんか見てねぇし。ほら、小遣いやるからお菓子でも買って来い。どうせ今日も
 仕事ねぇし。」
そうやって新八に二千円よこした。
「こんなにいいんですか?やったー。神楽ちゃん行きましょう。」
「ほら、新八早く行くネ!」
神楽はもう玄関を出ていた。
「はいはい」
新八も玄関を出て行った。

「新八、いいアルカ?」
「一人になりたい時もありますよ。」
「そうアルネ。」

2人がそう立ち去るのをみると銀時はため息をついた。
心配、かけたか・・・。
「たく、夢見は最悪だ。あの頃の夢、最近多いな。」
銀時はそう頭をかいた。
 ガラガラガラ と玄関のドアが開く音とともに数人の奴らが入ってきた。
「はぁぁぁ・・・・・。」
そう盛大にため息をつくと、入ってきた三人の男のうちの一人が声を発した。
「ため息つきたいのはこっちだ。」
「田串君、何の用だ。餓鬼どもが出かけたと思ったら今度はてめぇらか。」
悪態をつくと沖田が笑いながら
「桂が旦那のことを仲間みたいに吹聴してんでさぁ。というか旦那、機嫌悪いんです
 か?人を殺しそうな目つきですぜ?」
そう言った。
「ヅラの野郎・・・。機嫌は悪いが人を殺そうとか思わんよ。つうか、何の用だ。」
聞き返すと近藤が
「仲間じゃないならいいんだがな。」
そう言った。
「じゃ、さっさと帰れ。たくっ」
「こっちだって忙しいんだよ。言われなくても出て行くわ!」
土方がそう返した。
「桂の野郎みつけたら、連絡くだせぇ。」
そう沖田が言い残し出て行った。


それからも次々と人が来たため、家を出た。
「はぁ、どこに行くか・・・。」
そう呟きながら適当に人がいない、橋の下の草の上に寝転がった。
あの夢みてからどうも、落ち着かない。
まるで、あの戦争してた頃の自分に戻った気分だ。
心の中で舌打ちをして、寝返りを打った。
「くそっ、何でこんなに苛々するんだか・・・。」
そう呟いた時だった。
「何だ、機嫌が悪いのか。」
その声がしたほうを向きながらバッと体を起こした。
「高杉・・・。」
俺がそう名前を呟くと高杉はニッと笑って俺に近づいてきた。
「どいつもこいつも何で俺が機嫌悪いのか聞くんだ?」
そう立ち上がり木刀に手をかけると高杉はわざとらしく両手をあげて
「戦う気なんてねぇよ。」
そうクックと笑った。
「何の用だ?」
警戒しながら聞くと高杉はなおも笑って言った。
「いやぁ、お前さんと見かけたら何だか昔の、そう白夜叉みたいでなぁ?」
「・・・・。」
言い返す言葉が見つからずに無言で睨んでいると高杉は
「図星か?」
と笑った。
「うっせぇよ。ちょっと夢見が悪かったんだ。」
仕方なくそう言い返すと高杉は面白そうに
「昔の夢でも見たか?」
そう言ってきた。
高杉は頭がきれる。俺のイラつく原因ぐらい予想がついていたのであろう。
「それも、ある。」
つい、そう言うと「他にもあるのかぁ?」と言われてしまった。