無邪気と無自覚(ミラクル☆トレイン新宿×汐留)
俺の持てる精一杯の誠意を見せたつもりだった。どうか、わかってくれ……。
「……うっ」
突然、汐留が嗚咽を漏らす。そんなにショックだったのか?
ぼろぼろと涙を零しながら、ヒックヒックとしゃくりあげられ、そんな汐留に狼狽していると、
「うれしいよお!」
突然、胸に抱きつかれた。そんなの嫌だと言われることを覚悟していたので拍子抜けだ。
「ありがとう、新宿さん。僕……もっと新宿さんに好きになってもらえるよう頑張るからね」
抱きついたままそんなことを言われて、俺は、ああと頷いた。
子供だ子供だと思っていたが、思っていたよりもこいつは成長していたらしい。
「……大好きだよ」
見つめ合い、今すぐにでも堕ちてしまいそうな笑顔を浮かべると、汐留は俺に唇を寄せた。
せめて、あたたかいキスだけでも与えてやりたい。
そんなことを考えながら、俺は汐留に対する自分のあたたかい気持ちに、少しだけ戸惑っていたんだ。
作品名:無邪気と無自覚(ミラクル☆トレイン新宿×汐留) 作家名:榎木