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さらんらっぷ
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歓喜の歌は己が為に響かせる 後編

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源田の様子に違和感を感じた。その後は一切、会話もなくお互い別れてしまった。
 それからの俺は本番も近くなったことで、サッカー部の練習は一切、出なくなった。冬休みに入ると、施設点検と学園自体も休みに入るため帝国学園での練習は不可能になる。つまり、俺の今年の部活動は終わってしまった。今年中に必殺技を完成させたかった。寺門と洞面にはどこかで施設を借りて練習しようという約束はしているものの、お互い、年末にかけて実家でそれぞれの行事を済まさなければならない。きっと、会えたとしても一日か二日くらいか。
 今の学校でも、サッカー部のメンバーで会えるのは同じクラスの辺見に、昼食を一緒に取っているため源田と鬼道さんに限られた。
「佐久間かりかりすんなって。」
「朝練も音楽部に回されて……ボールを蹴れない俺の気持ちがわからないとは言わせないぞ。」
辺見のデコを指でぐりぐりとするとめちゃくちゃ怒られた。二人で昼食を食べるため、鬼道さんと源田がいるであろうフロアへ向かう。いつも通り、扉を開けると弁当箱と鬼道さんだけがいた。
「あれ源田はどこに?」
「ちょっとな。とりあえず今日は三人だけだ。」
源田がいないことで、俺は懐かしい雰囲気を味わった。鬼道さんはもちろん、辺見も初等部から一緒で、お互いに気心が知れていた。(だからこそ、強さを求める鬼道さんを知っていて俺は悩むのだ。)しかし、弁当だけ残してこれを作った当の本人がいないのは些か不思議な気分だった。昼食を三人で平らげ、辺見が席を立つ。バタンと扉が閉まり、鬼道さんが俺を呼んだ。
「源田は今、グラウンドにいる。」
「え、でも昼練は無い予定でしたよね。」
「自主的に行っている。様子を見に行ってきてくれないか。」
「……わかりました。」
俺は鬼道さんに一礼してから、席を外した。
昼休みの時間も残り少ない、足を速めた。