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覚悟しなさいっ!

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そういえばクリスマスだ。



帝人は25日の朝目覚めて、携帯の画面を見てそれに思い当たった。土曜日で休みだし、天気はよさそうだったが、昨日遅くまで起きていたので外出する気にもなれない。そうか、クリスマスだったのか。だから昨日掲示板が荒れたんだな、と納得する。
ここはあれか、定番のあの台詞を言うべきなのか。「リア充爆発しろ」とか「クリスマスは終了しました」とか、「え?クリスマス?なにそれおいしいの?」とか。帝人も本来リア充のはずなんだけど。
帝人は寝ぼけつつそんなことを考えて大きなあくびをした。それから再び布団をかぶりなおす。何しろ今の自分にクリスマスは無縁のものなので仕方が無い。
つい、二週間ほど前の話だ。
何の話題からそうなったのかよくわからない。
目下同棲中である恋人の折原臨也が、決意に満ちた顔で、ちょっとフィンランド行って来る!とか言い出したのは。そして翌日には本当に出かけてしまったのである、一体何なんのあの人。
あっさりと回想してみたけれど、一応恋人同士と言う間柄、帝人は結構クリスマスに期待をしていたのだ。イベントシーズンこそ臨也も男を見せるのではないかと・・・いや、うん。



竜ヶ峰帝人が、折原臨也と言う可愛い生き物と付き合いだして、もうずいぶんたつ。
紆余曲折を経てよくわからない理由で同棲にこぎつけ、大方の予想とは裏腹に順風満帆にラブラブ街道一直線。砂糖吐きますか?グラニュー糖吐きますか?それともざ・ら・め?ってくらいラブラブなのだ。最初はお断りするつもりだった帝人なのに、いつの間にやら23歳児の反応が面白くて構い倒しているうちに、すっかりバカップルの片割れになってしまった。おかしいなこんなはずじゃなかったのに、とか思いつつも幸せだ。
いや、幸せなのだけれども。
臨也は時々・・・いやわりと頻繁に・・・むしろいつも?思考回路がナナメ上だ。
しかも綺麗なナナメ45度なら慣れれば予測もできようが、臨也の場合はナナメ36度くらいをきりもみ回転しつつ突っ切っていくのだ。こればかりはどれだけ長い時間を側で過ごしても、決して予測がつかない。新羅曰く、「あの思考回路は簡略版の富士の樹海」で、正臣曰く「ただでさえ狂ってた時計が不規則に逆回転する感じ」。まあようするに予測不可能なのである。
そこがメンドクサイところであって、だがしかしそれゆえに余計に愛しいと思えるところでもある。ほんっとに仕方が無いなあこの人は、と頭をなでてやりたくなる。とてつもなく恥ずかしがり屋な臨也にあわせてキス以上には進んでないけれど、ぎゅっとして一緒に眠るのもまた幸せ、そんな風に思うように僕もなりました。
ここのところ寒いし、ずっと一緒に寝ていたので、一人寝のベッドが寒く感じてしまう。帝人は布団の中で大きくため息をついた。
何であの人、フィンランドに行ったのかなあ。
いや、多分絶対サンタに会いにいったんだろうけどさあ。
どうせ長いこと留守にするなら、一緒に連れてってくれればいいのに、と帝人は思う。テスト期間が終わるまで待ってくれたら、同棲のおかげで浮いたお金をはたいて航空券代くらいは出せた。帝人は海外に行ったことがないので、臨也と一緒なら心強い。
まあ今更だけど。
とにもかくにも、そういう理由で帝人は目下、臨也のマンションに一人なのである。
この恋人たちのイベントに!
一人で!
不貞寝!
ラブラブなカップル的には危機的状況じゃなかろうか。
はーっ、ともう一度大きくため息をつく。それから、どうせ眠れないんだから仕方が無い、正臣から借りたゲームでもやろうと思い直し、ていっと布団を蹴っ飛ばしつつ、勢いよく起き上がった。
と、同時に。


「帝人君!」


蹴破らんばかりの勢いで寝室のドアが開き。
「っ、メリークリスマスー!」
と、臨也が帝人に飛びつき。
そのままうわああああんと泣き出したのだった。
あ、だめだ。帝人はまだ覚醒しきれない頭で、それでもはっきりと理解した。




僕やっぱりこの人、理解できないや。




・・・それこそ、激しく今更である。



作品名:覚悟しなさいっ! 作家名:夏野