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Confetti candy Love(英米)

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「アメリカ・・・・・・ッ」
その荘園の一番奥、朽ちた白木の椅子の傍にアメリカは立ち尽くし
薔薇に視線を投げかけていた。
俺の存在に気付かないアメリカの腕を後ろから掴んで、その冷たさに眉を顰める。
まるで氷の彫像のように冷たい。
持ってきたジャケットを着せようとすると「イギリス・・・・・・?」と俺の存在に
ようやく気付いたかのように振り返ったアメリカは声をあげた。
「馬鹿。こんなところに何しているんだよ」
「何って未確認物体を発見したからここまで来たんだぞ。でもここで
 見失っちゃって・・・・・・」
薔薇に溶け込むように消えたんだ。
せっかく世紀の大発見かと思ったのに。
口を尖らせたアメリカは酷く残念そうに呟いた。
妖精を目視することのできないこいつはUFOか何かだと思い追いかけていったらしい。
ぷすりと笑い仕方なく俺はアメリカに真実を教えてやった。
「ばあか。それはうちの妖精さんだ」
「・・・・・・キミ、また幻覚の話かい?まったく飽きないね」
「幻覚じゃねえよ!!」
妖精さんは本当にいるんだからなと言ってもアメリカはいつものように
ハイハイと受け流すだけで全く信じていなかった。
今日こそは徹底的に妖精さんの存在を語ってやろうかとジャケットをもそもそと着る
アメリカを見て思ったが、あいつの息が真っ白なことに気付き、とりあえずは屋敷に
帰ることが先決かと俺は息をついた。
「おらアメリカ。いい加減、帰るぞ」
「・・・・・・いいよ。先に帰ってて」
だが生意気にもアメリカはぷいとそっぽを向いて反抗をする。
おい、アメリカと呼びかけても動こうとしない。
そのくせ寒いのか身体が小刻みに震えている。
わけわかんねえと零しそうになった言葉を飲み込んで俺はアメリカに手を伸ばした。
「何言ってんだよ。寒いんだろ。ほら、帰るぞ」
「いいから!」
癇癪を起こした餓鬼のように叫んでアメリカは俺の手を打ち払った。
打ち払ったのは自分なのにまるで被害者のようにアメリカは顔を顰めた。
払われて怒りがこみ上げてきたが、泣きだしそうなアメリカの表情を眼の前にすると
怒りよりも心配が打ち勝った。
もう一度手を伸ばすと今度は振り払われなかった。
そのまま背中を抱き込んで引き寄せるとアメリカは黙って俺の肩に顔を埋めた。
いつもは子供のように高い体温も俺の方が暖かいぐらいにまで冷え切っている。
やっぱり早く屋敷に戻らないと風邪をひくな。
「俺・・・・・・」
せめて少しでも暖かくなるようにと背中を擦っていると顔をあげたアメリカが
額に額をくっつけてきて、秘密を明かすような小さな声を出した。
小さい頃も内緒のことを話すときにアメリカが額をくっつけてきたことを思い出したが
この場でそのことを口にするほど俺は空気が読めないわけではなかった。
「やっぱり、キミの料理はまずいと思っているよ。でも・・・・・・」
喧嘩売ってんのかゴラァと声を荒げたくなったが、アメリカの話はまだ続くようなので
ひとまず保留にして最後まで話を聞いてやることにした。
あんまり酷いこと言うようだったらギーしてやればいいしな。
「キミと二人で食べるならフランスの料理に負けないくらい御馳走になるんだ」
・・・・・・今の、聞き間違いじゃないよな。俺の料理がフランスに負けないくらいの
御馳走になるって・・・・・・
ま、まぁまだ喜ぶのは早いよな。ぬか喜びかもしれねえし。
とはいうものの、綻びそうになる顔を取り繕うのは難しい。
今まで俺の料理を美味しいと言ってくれたのは小さい頃のアメリカぐらいだった。
フランスの野郎は露骨にまずいと言いやがるし、普段のアメリカだって生物兵器だの
対宇宙人最終兵器だのさんざんに貶めやがる。
そのアメリカはじつは俺の料理を御馳走だと思っているなんて想像するだろうか。
いいやしない。
フランスが股間に薔薇をつけて疾走するのを止めるのと同じくらいありえないことだ。
だから嘘かも知れないと思っていても、じわりとこみ上げてくる喜びを抑えきれない。
「今日だって二人きりだと思っていたんだ。なのにキミは・・・・・・」
「悪い、アメリカ」
話の途中だとはわかっていたが、あいつの言葉の端端に泣きだしそうな気配が
滲んできたので俺は軽く口唇を触れさせた。
昔から泣きそうになるアメリカを宥めるのにはキスが一番効果的で
それはでっかくなっちまった今でも変わらないということは三カ月の恋人期間で
俺はすでに学んでいる。
何度か軽く触れ合わせると今度は違う意味で瞳が潤みを帯びてくる。
やべ、と小さく呟いてとりあえずは口を離した。
「キミ、ねえ・・・・・・」
「悪かったって。で、話の続きはどうなるんだよ」
ぷくうと頬を膨らませたアメリカは一瞬口元をへの字にしたが、話を続けてくれる気にはなったらしい。
おずおずと密やかに口を開いた。
「勘違いしてフランスを呼び出すし。挙句の果てには俺のことを忘れて二人で酒盛りを
 始めちゃったじゃないか」
「本当に悪かった。なあ、どうしたら機嫌を直してくれるんだ?」
いや、元々はお前が俺の料理なんて食いたくないなんて言わなきゃ
こうならなかったんだろうがと拳を挙げる内なる心に蓋をして、俺はアメリカに縋った。
かつての大英帝国が年下の、しかも元弟に縋るなんて情けない姿だ。
けれど俺はアメリカを失わないためならば、地に膝をついたとしてもよかった。

「たくさんキスとハグをして。俺だけを見てくれなきゃ嫌なんだぞ」
「ばぁか。お前だけだよ。俺がこんなことするのは」
「ん・・・・・・」

まずはキス、と笑いかけて口を柔らかく塞ぐ。
するとすぐにアメリカの舌が潜り込んできて、積極的に絡んできた。
俺もすぐにやり返すが、性感を煽るようなものではなく、小さい頃、あいつに
してやったような子供同士の戯れのような優しい仕草でアメリカの舌を弄る。
(俺にはお前しかいないってこと、わからせてやるよ)
胸の中でそうっと呟いて、腰を強く引き寄せる。
寒さも忘れて、俺たちはひたすらキスをしてハグをし続けた。

後日、アメリカ曰く『御馳走』を作ってやったらさんざんに貶められ
初めての大喧嘩になったことはまた別の話だ。
今は俺もアメリカもそんなことになるとは知らず、ただただ互いの温度を
確かめ続けている。
ずっと忘れられない。そんな幸せな夜を二人で過ごし続けた。
作品名:Confetti candy Love(英米) 作家名:ぽんたろう