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Confetti candy Love(英米)

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「ごめんな。痛かったよな」

ごめん。
イギリスは何度もハンバーガーみたいにたくさん謝罪の言葉を重ねた。
俺も、ごめん。
しゃくりあげながらも謝ったけど涙はぜんぜん止まらなかった。
だって、イギリスが謝ったのは、俺がいきなり泣き出してびっくりしたからで
本当は謝りたくなんかないし、俺のことだって、だ、大嫌いなんだ。
そう考えるとますます涙は溢れ出してきて、イギリスが困ってしまうのは
わかっていたけど溢れ出す涙を止めることができなかった。
俺の涙を吸ったハンカチはもう拭うことができないくらい濡れていて
とうとうイギリスは俺の涙を拭うことを諦めてしまった。
イギリスがどんな表情を浮かべているのか見るのが怖い。
もしも嫌悪感に満ち溢れた表情だったら俺は立ち直れない。
いくらヒーローだって、好きな人に嫌われたら駄目になっちゃうんだぞ。
ふ、と軽く息をついたイギリスは俺のテキサスを外した。
いきなりクリアになった視界に驚く間もなく、生暖かいものがぺろりと俺の頬を
舐めあげた。
驚きのあまりに固まった俺の頬を両手で包んでイギリスは零れる涙を
ちゅうと吸い上げる。
俺の脳内はもうパニックを通り越して完全にフリーズしてしまって
何をされているのか理解できない。
ただ、イギリスが俺に触れているということしか理解できなかった。

「イギリス・・・?」

「お前に泣かれると困るんだ」

まつ毛がくっついてしまいそうな距離で囁かれた台詞を俺はやはり理解することが
できなかった。
イギリスはとても真剣な表情を浮かべていた。
涙でぼやける視界でもはっきりとわかるくらい真剣だった。
その表情はずっと前に見た独立直後の冷たかったイギリスの顔に似ていて
思わず身体が退きそうになった。
けれど、頬を包んでいた手が俺の腰を強くひき寄せて、俺は引き寄せられるままに
イギリスの胸に顔を寄せた。
服越しに伝わる少しだけ早い心音は昔と変わらない。
なのに、俺もイギリスもこんなに変わってしまった。
そろそろと背中に手を回すとイギリスは宥めるように俺の背中や頭を撫でてくれた。
小さな子供に対する扱いでもよかった。
だって俺はやっぱりイギリスが好きだったからだ。

「好きな奴に泣かれたくない」

涙が止まりかけた頃、イギリスは真剣な顔でとてもひどいジョークを言った。
いくら俺を笑わせようとしたって、これはない。
うええと情けない声が零れて、止まりかけていた涙がぼろぼろと溢れた。
泣きすぎて瞼がすごく痛かったけど涙は止まらなかった。

「嘘だ・・・・・・」

「嘘じゃない。お前のことが好きなんだ」

しゃくりあげながら返した言葉をイギリスは即座に否定した。
キャンディーにもこんな色はないっていうくらい深い緑が俺をまっすぐに見つめる。
その瞳に弟扱い以外の色が覗いていることに気づいて、俺は一瞬しゃくりあげることを
忘れた。
直接見たことはないけど、フランスの貸してくれたえっちなビデオで見たことがある。
それと同じような光がイギリスの瞳にも宿っているように見えた。
もしもそれが見間違いだったらどうしよう。
そう思っても俺の体は止まってくれない。
胸から顔をあげて、イギリスの首の後ろに手を回し、彼の顔を思い切り引き寄せた。

「―――――ッ」

勢いに任せたキスは寸前のところで歯にぶつかることを免れた。
俺の行動の意図に気付いたイギリスがうまく衝撃を逃してくれたからだ。
口唇を触れさせるだけのキスなのに今までないくらい気持ちよかった。
あっという間に主導権をとり返したイギリスが舌を潜り込ませるときには
腰が砕けてしまって、俺はうまく応えることができなかった。
しばらくキスをした後、イギリスがとても真剣な顔で口を開く。

「これがお前の気持ちだって思っていいのか」

優しいだけじゃない、熱の籠った声で聞かれて、俺はこくりと頷いた。
それだけでイギリスはこの世の幸せを全部集めたみたいな笑顔を浮かべたけど
これじゃ駄目だと俺はわかっていた。
だって、きちんと言葉にしていない。
俺は、俺の言葉で、きちんとイギリスに好きだって言いたいんだ。

「イギリス、好き」

何度も唾を飲み込んで、ようやく絞り出すように言えたのはそれだけのことだった。
ハリウッドではあんなにカッコいい愛の告白がたくさんあるのに
俺が口にできたのは名前とloveだけで、他には何も言えなかった。
もっと言いたいことはたくさんあるのにと俯きかけた俺をイギリスは強く抱きしめた。
この人のどこにこんなに力があったのだろうと思ってしまうくらい力の籠った抱擁だった。
痩せぎすの人にこんなに抱きしめられたら痛いだけなのに、その痛みよりも
幸せな気持ちが強くて全く気にならなかった。
しばらく二人で抱き合って、互いの温もりを分かち合っていたけど、それだけじゃ
足りなくなってキスをしようと身体を少し離すと口元に笑みを刷いたイギリスが
俺に「付き合ってくれないか?」と囁いた。
告白をして、キスもしているから付き合っているような気分だった俺は
まだ本当には付き合っていなかったことに気づいて、少しだけ苦笑を浮かべた。
その笑みを見て、イギリスがさっと青ざめたけど、彼が本格的に勘違いをする前に
俺は返事を囁き返した。
返事を聞いたイギリスはあっという間にいつもの少し悪そうな笑みを取り戻して
俺に深く長い、優しいキスをくれた。

こうして俺とイギリスは付き合い始めた。
小さな諍いは相変わらず絶えなかったけれど、お互いの気持ちを知っているから
大きな喧嘩までには発展しなかった。
そして付き合い始めて、初めての恋人らしいイベントであるクリスマス。
イブの晩に俺は彼の住まうロンドンへと足を運んでいた。
作品名:Confetti candy Love(英米) 作家名:ぽんたろう