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Confetti candy Love(英米)

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俺の顔を見たフランスは「いいから人の話はちゃんと最後まで聞きなさいな」と
イギリスみたいな小言を口にして話を続けた。
「お前らさ、付き合う前から互いに好きなんだろうなっていうのはわかっていたんだけど
 どうもそれがうまく噛み合っていないように見えたんだよね。坊ちゃんもそうだけど
 お前も相当気持ちを隠すからさ」
「でも、キミはわかっていたんだろ」
「それは俺が愛の使者だからさ。実際はお前は坊ちゃんの思いに気付かなかったし
 坊ちゃんはお前に好かれているなんて欠片も思っていなかったからな」
手際良く動くフランスの手元を見つめながら俺はそうだねとだけ返した。
俺もイギリスも付き合う前から互いの気持ちを信じられなかった。
今はこうして付き合っているけど、たまに、本当にたまに不安になる。
ちゃんと俺はうまくやっているのだろうかって。
本当にたまにのことだけれど。
「それがさ。あの幸せそうなこと。昔っからお前に尽くすことが好きだったけど
 今は恋人としてお前を甘やかすことに幸せ感じているだもんな」
「ま、まさかさっき・・・」
「安心しな。キスしているところは見ていないから」
「キスなんてしてないよ!」
思わずカウンターを叩いて俺は叫んでしまった。
そうだ。キスもしていない。
クリスマスで、俺とイギリスは恋人なのにキスもしていない。
口を開けば、そんな情けない言葉が出てきそうで俺は口を噤んでフライパンの中で
湯気をあげているエスカルゴをじっと見つめた。
そんな黙り込んでしまった俺を先ほどの言葉で怒らせたと思ったんだろう。
ごめん、ごめんと軽く笑った後、フランスは彼にしては真面目な表情で口を開いた。

「ま、あの坊ちゃんがお前の気持ちをわかるようになったっていうのは大きな進歩だね」
「違うよ」

アメリカ?
戸惑うように呼ばれた名前に俺は首を振る。
違う、違うんだ。
だってあの人は。

「イギリスは俺の気持ちをわかっていない。今日だって本当は・・・!」

叫びかけて、言葉を詰まらせる。
こんな酷い、子供じみた台詞をヒーローは言っちゃいけないんだ。
それにフランスはからかうことなく、俺たちのことを真面目に心配してくれた。
今日だって、俺たちがうまくやっているか心配して来てくれたんだ。
でも、でも俺は。それでも、あの人と二人きりがよかったんだ。
あまり美味しくない彼の料理だって、二人で食べていれば御馳走になるんだ。
小さい頃からそうだった。
他に美味しいといわれるものがあることは知っていたけれど、それでも俺にとっての
焼きすぎた牛ステーキであり、ぐちゃぐちゃのポテトだった。
あの人と二人で食べていれば、どんな料理だって、生物兵器のスコーンでも
とっておきの御馳走になる。
じわりと滲みかけた視界の中でフランスが困ったような表情を浮かべていた。
その顔を見て、きちんと謝らないとって思ったけれどなんて謝ったらいいのか
わからない。
「アメリカ」
「フランス、飯はできたか?」
神妙な顔つきで口を開いたフランスの言葉を遠慮のないイギリスの言葉が遮った。
声の聞こえてきた方に顔を向けるとイギリスは真っ赤な薔薇を数本ばかり手にしていた。
きっと今晩のディナーの飾り付けのために採ってきたんだと思う。
先ほどの話を聞かれていないかドキドキしたけど、イギリスは聞いて
いなかったみたいだ。
あんな話を聞いて平然と声をかけてくる人じゃないだろうし、たぶんそれは
間違いないと思う。
フランスがイギリスと口喧嘩に近いやり取りを始めた隙に俺はリビングの
ソファーへと逃げた。
とてもじゃないけど、イギリスの顔をまっすぐに見れない。
しだいに大きくなっていく二人の声を背に俺は膝を抱え込んでぎゅっと目を閉じる。
せめて、晩餐の前にはこの酷い感情が少しでも収まっていればいいと思った。

晩餐のときには何とかいつものように振る舞うことができた。
フランス特製の朝から煮込んでいたスープも香草を詰め込んだターキーも
チーズとハムのサンドもエスカルゴもフォアグラもお腹いっぱいになるまで食べた。
デザートのブッシュ・ド・ノエルだって、俺の味覚よりに作ってくれたものだったから
張り切って食べてしまって、イギリスに怒られたくらいだ。
なのにどうしてだろう。
今、俺の心の片隅はちくちくと痛んでいる。

夕食を作った後帰ると言っていたフランスはイギリスと向かい合ってお酒を飲んでいた。
食事の最中から彼らはワインを飲んでいたんだけど、俺がデザートに差し掛かる頃には
食事よりも飲むことを楽しんでいて、俺はそんな彼らも見ながら自分用に切り分けられた
ブッシュ・ド・ノエルとイギリスの分も食べた。
デザートも食べ終わってしまうと途端に暇になってしまって、俺は持ってきたゲームを
取りに行くためにこっそりリビングを出た。
二人に声をかけなかったのは別になんとなくのことで拗ねているとか
そういうんじゃない。
なのに、俺の心は小さく痛んでいる。
ため息を飲み込んで、ほぼ俺専用になっている部屋のドアを開くと光が溢れた。
え、と心臓な止まりそうなくらいびっくりして俺は光を眼で追う。
ふわふわとベースボールで使う球くらいの大きさの光はそのまま窓ガラスを通り抜けて
外へと飛んで行った。
Noooooo!!トゥースキュアリーすぎるよ!!と叫ばなかった自分を褒めたい。
だってこんなこと、イギリスお得意の幻覚でもできやしないじゃないか。
窓ガラスの外でふよふよと浮かんでいる光はまるでUFOみたいだ。
ん?もしかしてUFOなのかもしれない。
そう考えると俺はその光を追いかけたくなった。
そうしている間にもふよふよと漂う光は離れていく。
―――――少しだけ、なら。
イギリスに声をかけてから行こうと思ったけど、リビングまで戻っていたら
見逃してしまうかもしれない。
俺は唾をごくんと飲み込んで、窓ガラスを開け放つ。
と同時に吹き込んでくる風はすっごく冷たかったけど俺は怯むことなく飛び降りた。
ふよふよと浮かんでいた光はゆっくりと薔薇園の方へ飛んでいく。
どこまで行くかわからないけど、最終的には捕まえてやるんだぞ。
そう意気込むと少しだけ気分も上がってきたような気がして、俺は一層気合を入れて
その光の後をゆっくりと追い始めた。
作品名:Confetti candy Love(英米) 作家名:ぽんたろう