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今宵呼び鈴は鳴らず

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仕事が急に休みとなり予定にない休日を持て余していた時に、チャイムの重みのない音が部屋に届く。事前のお伺いもないのに訪問される程人間関係が豊かな訳ではない。不思議に思いながらもマンションの見慣れた均一なドアを開けた。
居ない、と思うも視線を下げたなら身長が何センチか平均未満であろう訪問者が居る。童顔、小柄、地味。その単語だけで言い表せてしまいそうなこだ。
「初めまして、隣に越してきました竜ヶ峰です。これご挨拶のものですのでよかったら」
「あ、ああ。どうも」
どうぞ、と朗らかに菓子折りを差し出すしっかりとした新規の隣人に、保護者はと尋ねる前に話し出してくれて助かったとこっそり胸の内で安堵した。幾らなんでも初対面から失敗してしまっては、本格的に人付き合いを諦めてしまいそうなので。
油を差し忘れて錆びた機械のような手並みで静々と受け取る。
では、という終始相手の主導権を所有されたままで当たり障りなく、こうして春が中心になりかけた頃に行われた、初回のコンタクトはあっさりと済んだ。
作品名:今宵呼び鈴は鳴らず 作家名:じゃく