今宵呼び鈴は鳴らず
あちこちが色彩が濃くなった季節柄、停電によって家電が動かなくなる。当然理性を繋ぐ冷房も入らない。
このまま何も対策をしないと本気で暑さ茹だるまま自宅を半壊させることを危惧して、近所に幾つか点在するコンビニエンスストアの涼みを目的に外出する。
扉を開閉する音が重なる。ひょこりと覗いたのはいつぞやの挨拶に留まっていた、現代に正しく縁の淡泊な隣人である。
「こんにちは、暑いですね」
「お、おう」
もう少しマトモでマシな返事が出来たら交友数の少なさを虚しむ苦労はない。
「これから近くのコンビニに涼しさを求めに行くんです。僕すごく暑さに弱いので。あ、もしかして平和島さんもですか、よろしければご一緒しませんか?」
「ああ、そうだな…。冷房止まっちまったからな。ふらっとアイスを買いに行くくらいはいいだろ」
年齢が不詳であることを忘却してしまったに上乗せして、隣人もとい竜ヶ峰の友好的な反応につい敬語が外れた。気にしている様子はないので、此方も気に掛けないでも大丈夫なのだろう。
マンションの作っていた日陰から這い出て刺さる日光を浴びる隣人は何と言うか、先程の申告通りに大変ぐんにゃりとしており、早くに意識が危ないメーターの位置に達してしまいそうな歩みであった。
帰り道は案の定目を回してしまった、きちんと食事を摂っているか疑わしい細身を負ぶった帰途となった。それから呼び鈴はお誘いの度に鳴る。それがいやではないのは、多分友人へとなれた隣人だからであるからか。
何かしらの晴れない感情は残るが、誘われにスキップする心持ちで出掛けるのは純粋に楽しい。
このまま何も対策をしないと本気で暑さ茹だるまま自宅を半壊させることを危惧して、近所に幾つか点在するコンビニエンスストアの涼みを目的に外出する。
扉を開閉する音が重なる。ひょこりと覗いたのはいつぞやの挨拶に留まっていた、現代に正しく縁の淡泊な隣人である。
「こんにちは、暑いですね」
「お、おう」
もう少しマトモでマシな返事が出来たら交友数の少なさを虚しむ苦労はない。
「これから近くのコンビニに涼しさを求めに行くんです。僕すごく暑さに弱いので。あ、もしかして平和島さんもですか、よろしければご一緒しませんか?」
「ああ、そうだな…。冷房止まっちまったからな。ふらっとアイスを買いに行くくらいはいいだろ」
年齢が不詳であることを忘却してしまったに上乗せして、隣人もとい竜ヶ峰の友好的な反応につい敬語が外れた。気にしている様子はないので、此方も気に掛けないでも大丈夫なのだろう。
マンションの作っていた日陰から這い出て刺さる日光を浴びる隣人は何と言うか、先程の申告通りに大変ぐんにゃりとしており、早くに意識が危ないメーターの位置に達してしまいそうな歩みであった。
帰り道は案の定目を回してしまった、きちんと食事を摂っているか疑わしい細身を負ぶった帰途となった。それから呼び鈴はお誘いの度に鳴る。それがいやではないのは、多分友人へとなれた隣人だからであるからか。
何かしらの晴れない感情は残るが、誘われにスキップする心持ちで出掛けるのは純粋に楽しい。