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前世を言ってもキリが無いよ

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いや、喋り方だとかはイマドキにあるまじき、古い記憶と同じもので、普通じゃないけれど。
明らかに旦那は今生の人間としてだけ生きている。
だから、距離の計り方がいまいち難しいのだ。
逆にあっちは俺様の存在に馴染んじゃって、何にも変わらないように天真爛漫に振舞っている。
畏まられると居た堪れないからラフにしてとは言ったけど、既になんか、弟みたいな扱いになってる。
まあ正式な入門をしたって兄弟子になるんだろうし、いいんだけどさ。
年は旦那の方がずっと上だし。
武道を何もやったことがないから、という言い訳でずっと見学していることに不満はあるみたいだけど、特に問題にもならない。
何人かの旧知の武田の将が、俺様を歓迎してくれたこともあるんだろう。
今は今、昔は昔、と弁えてはいるけど、思い出話ができるのは楽しいらしい。
俺様が、「昔のことに振り回されるのは嫌なんだけど」とぼやけば、記憶のある皆がそりゃそうだと同意してくれた。
ただそれでも縁ばっかりはどうしようもない、と。
お館様が音楽家の家に生まれて、指揮者になったのも、それとなく武田の将が集まってしまったのも、別に前世を考えてのことじゃないはずだ、と。
事実、躑躅ヶ崎館の将でも、此処を知っていてわざと訪れない、ひねくれてる性格のもいるらしい。
わざと避けているのも、なんか前世に振り回されてるみたいで可哀想だよな、と思う。
だったら楽に呼吸ができるほうへ進んだほうが健全だな、と俺様は判断した。
それで、人生の多くの時間と関わることになる、武田道場での居場所が俺様にも出来た。
昔の記憶がある、という日常が、ちょっとだけ拡張した。
そう思っている。