泣き虫な俺の幼馴染
蒼い眸を細め、少年は、―――帝人は笑った。
「彼は僕のヒーローだったんだ」
その瞬間、静雄は弾けるように飛び出し、細い手を取り駆けだしていた。
背後から俺の名前とこいつの名前を呼ぶ声がしたけれど、どうでもよくて、ただどうしようもない衝動だけが静雄を走らせていた。
「待って、離してっ、―――平和島君!」
「っ」
違う、違う、平和島じゃない。お前は俺をそう呼んでなかったじゃないか。お前だけが、呼ぶ名前があったじゃないか。
「ねぇッ・・・、お願いだからッ」
呼べよ。呼ばなきゃ、俺は振り向いてやれない。
呼んでくれよ、
「しずくん・・・・っ」
そうしたら、今度こそ振り返って、お前を離さないから。