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ガーベラを彼に

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最近気付いた事がある
いや、…本当はもっと前からだったかもしれない

それはとても自然で、ある偶然がなければ気付く事はなかっただろう


ある日、それは起こる
「タクト。ハンカチ、落ちたよ」
彼の手からひらりと舞った布を拾い上げると、はい、と差し出す
その時指に触れそうになり、一瞬ベタだなと頭に思い浮かべるが、それはさっと極僅かな動きでかわされ、
「ありがとう」
どこか一線を引かれた笑みを向けられた
周りは誰も気付かなかったが、直にその表情を見た僕はある事に愕然とする

──ここ最近、タクトに触れたのはいつ、だ…?

行き場を失ったように上げた腕を力なく下げ、タクトを見つめるとどうした?と視線で問われ、
「タ……!」
「あ、予鈴が鳴ったよ。席に着かないと」
それもまた上手く誤魔化される

問い詰める事も、聞く事も出来ず、やきもきしたまま時間が経ち、そして放課後を向かえた
今度こそ、といきり立つが、既にタクトの姿はない

「あ、あれ…?タクト、は…?」
「タクト君ならもう帰りましたわよ。用事があるとかなんとか」
終わって直ぐ、走って行きましたわ、と帰る準備をしている(と言っても従者が、だが)人妻、もといカナコが答える

「振られてしまったの?」
くすりと面白そうに笑みを浮かべ、こちらを見つめてくる彼女に「まさか」と飄々とした笑みを返す
ふーん、と艶やかな唇を吊り上げ、それでもなお楽しそうに立ち上がると通り様、
「…彼、最近色っぽくなってますわよ」
小さくスガタに向かって囁くと、「それではまた。御機嫌よう」と颯爽と去って行くのであった

「……知ってるよ」
苦虫を噛み潰すように顔を顰め、「それこそ…誰よりも」と零し深々と溜め息を吐くスガタ
「スガタ君?」
「…何でもないよ。そろそろ帰ろうか、ワコ」
「…うん」
(馬鹿ねえ、スガタ君。タクト君は…)
二人の様子を身近で見ていたワコは小さく、小さく息を吐き「仕方がないわね」と呟くと不思議そうに首を傾げるスガタに微笑んだ
「お腹、空いたね。帰り、寄り道しない?いい所見つけたの」
有無を言わせない雰囲気でスガタに詰め寄り、勢いよく首を立てに振る彼に笑みを深めたワコである(断る隙がなかった、と後にスガタは語る)

作品名:ガーベラを彼に 作家名:夜。