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日本桜もち

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最近ちまたでは、もちもちしい謎の生物が人気のようです。
あのまんまるで可愛らしいもっちりとした柔らかな質感に惚れて、ついネットで購入してしまいました。
特に人気があるのは愛嬌のあるイタリアもちやカナダもちでしたが、派手さはないもののコアな人気があり専門書まで出ていると言う日本桜もちにしてみることにしました、到着が楽しみです。
ピンポーン。
呼び鈴の音に玄関に向かうと、amas○nの使いまわしの箱に入れられたもちを宅配屋さんが運んできてくれました。
いつもご苦労様ですと見送ると、早速封を開けてみることにしました。
様子を見に来たぽちくんも興味深げに覗きこみます。
・・・妙に静かです。
まさか死んでしまったのかと思ったら、箱の隅で固まっていました。
箱の中からとても出てきたくなさそうな姿に少し親近感を覚えます。
目が合うとおずおずと出てきて、ぴっと日の丸を一つ揚げて、
「はじめまして、日本桜もちと申します。よろしくお願いします」
と深々と頭を下げました。
「こちらこそ、はじめまして。日本と申します」とつられて頭を下げると、箱の中から桜の香りがします。
ところで桜の香りを嗅ぐと、花の香りというより食べ物の香りに感じてしまうのは和菓子の影響なんでしょうかね。
「失礼ですが、貴方がここのご主人なんですか?」
「ええ、そうですよ。これからよろしくお願いしますね」
すると日本桜もちは何処にしまっておいたのか長方形の細長い箱を取り出しました。
「つまらないものですが、お納めください」
差し出したのは某和菓子屋の・・・この時期でこの大きさなら練り羊羹でしょう、菓子折りつきで世話になりにくるとは律儀なおもちです。
昔、自分の食べる分の米を持ってあちこちに世話になりに行ったことを思い出します。
「これはご丁寧に、ありがとうございます」
菓子折りを受け取るとぽちくんが、新入りの日本桜もちのチェックを始めました。
「くーん」
ぽちくんがふんふんと日本桜もちの匂いを嗅いでいます。
犬は見慣れないのかびっくりしたようですが、大人しくしています。どうやら仲良くなれそうです。
まあるくてもちもちしい生き物とふかふか丸いぽちくん。ああ実に良いです。思わず頬が緩みます。あとでカメラを新調しなくては。
さて、大体予習はしてあるものの、おさらいに飼育書に再度目を通します。

『日本桜もちは大変飼いやすいおもちです。
大人しく従順で、他のおもちよりずっと狭いスペースで飼えます。
ある程度過酷な環境にも適応できますが、あまりストレスをあたえすぎると日本桜もちの魅力である肌つやが損なわれてしまうので注意しましょう。
特に清潔とお風呂を好むので出来れば毎日お風呂に入れてあげてください。
食べ物は新鮮なレタス、または小松菜を与えてください。
味覚は特に塩分の強いものを好むようですが、あまり与えすぎると早朝に徘徊するようになるので控えましょう。』

食べ物は好みが合いそうですね。そうそう、お風呂・・・
と買い置きの桧の桶をおろそうとして、はたと気がつきました。
「・・・・・・・・・とろけたり・・・とか・・・しませんよ・・・ね」
嫌な想像をしかけて頭をふります。
入浴の時は、つきっきりにならないといけないかもしれません。
作品名:日本桜もち 作家名:あさなぎ