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日本桜もち

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「ああ、やめてください!!」
ちょっと甲高い声に振り返ると、気に入ったのか、ぽちくんが仕切りに日本桜もちを舐めていました。
「ああああ!!駄目です!!ぽちくん!いけません!!」
あわててぽちくんを引き離すと、ちょっと細くなったように見える日本桜もちがぐったりとしています。
「だっ大丈夫ですか!?」
もちもちした体を抱き上げると虚ろな目を細めて震えています。
「・・・・・・ちょっと驚いただけです。気つけに塩をいただければなんとか・・・」
「わっ分かりました!」
戸棚から赤穂の天塩の入った塩つぼを取り出し、日本桜もちに向かってちょっとふりかけると心なしか顔色が明るくなったようです。
ほっと一息つくと、日本桜もちは物言いたげに塩つぼを見つめていました。
「気持ちは痛いほど分かりますが、我慢しましょう。
私もドイツさんに止められていますし」
「・・・・・・そうですか」
その目は少し切なそうでした。
「減塩・・・がんばりましょうね」
「そうですね・・・」
こうして日本桜もちと私の新しい毎日がはじまりました。
それにしても、こう可愛いものを見るとひと揃え集めたくなってしまうのは何故なんでしょう。
今日も日本桜もちとぽちくんを膝に抱きながら、液晶をにらんで物欲と戦うのでした。
作品名:日本桜もち 作家名:あさなぎ