西遊記 the loneliness world
緩やかな斜面が続いていた。
少し都を離れると、数知れぬ人々と歩みによって作られた剥き出しの地面が小道を成していた。土は踏みしめられ、両脇には草木が生い茂る。
ぴしゃり、淡白の袈裟に水が一滴、落ちた。
見上げれば、雨粒が羊歯に似た細木の葉を伝って、名も無き雑草に生命の源を与えていた。
舗装された街では見たことのないその植物に、思わず足を止め。微かな水流の音を聞きながら、帝から賜った錫杖を持ち直して一礼する。
「―――…不思議なものですね」
感嘆の声と共に、玄奘三蔵、三蔵法師は静かに微笑んだ。
それは、まだ空に龍が飛んでいた頃の物語―――
少し都を離れると、数知れぬ人々と歩みによって作られた剥き出しの地面が小道を成していた。土は踏みしめられ、両脇には草木が生い茂る。
ぴしゃり、淡白の袈裟に水が一滴、落ちた。
見上げれば、雨粒が羊歯に似た細木の葉を伝って、名も無き雑草に生命の源を与えていた。
舗装された街では見たことのないその植物に、思わず足を止め。微かな水流の音を聞きながら、帝から賜った錫杖を持ち直して一礼する。
「―――…不思議なものですね」
感嘆の声と共に、玄奘三蔵、三蔵法師は静かに微笑んだ。
それは、まだ空に龍が飛んでいた頃の物語―――
作品名:西遊記 the loneliness world 作家名:紅蓮