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懐かしさはくちびるに溶けて 騎士と少女

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「何をやっているんだ、日本?」
ドイツは元枢軸国で友好関係にある日本の行動を不審に思い、声をかけた。
「何をやっているって、私はただデジカメで撮影しているだけですよ。
 今年の夏コミの新刊の参考にさせていただきます」
日本はデジカメを手にしたまま、しれっとして言った。
「頼むから、身内をネタにするのは止めてくれ…」
ドイツは深いため息をついた。
「……では、ドイツさん。この画像を買っていただけますか?」
日本はヲタモードから商人モードへと移行して、ドイツに商談を持ちかけてきた。
「何故、俺が?」
ドイツは難色を示した。
「では、仕方ありませんね。スイスさんにでも売りつけましょうか…」
日本はとんでもないことを言い出してきた。
「ちょ、ちょっと待て、日本!!それだけは勘弁してくれ!!」
ドイツは抗議した。
「では、ハンガリーさんにでも…」
日本はさらに言い続けた。
「それも駄目だ!!
 ハンガリー経由でスイスの手に渡る事は分かりきっているだろう!!」
ドイツは大声で言った。
「では、買っていただけますね?」
日本は満面の笑みだった。
「……分かった。言い値で買おう」
ドイツは苦渋の決断をした。
「ありがとうございます。では、明日の朝、データをお渡しいたします。
 では、お休みなさい」
日本はそそくさと用意された客室へと戻っていた。
―疲れた…。
  しかし、兄さんの危機は救えた!……はずだ、と思う。
ドイツはげんなりとした様子だったが、肩の荷が下りた気がしていた。

その後、ドイツはリヒテンに話しかけ、もう寝るように言った。
プロイセンはドイツの手によって、寝室のベッドへと運ばれた。

翌日、プロイセンとリヒテンは昔話に花を咲かせて、思い出の地を巡る観光へと出かけた。
ドイツは日本から画像データが入ったディスクを受け取り、それを厳重に金庫へと保管した。
但し、そのデータが原本とは限らない。

(騎士と少女、終わり)