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ノマカプAPH年賀詰め合わせ

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仕方がないことですけれど、と極東の友人を頭の中で思い描いた。ハンガリーは、そうですね、と相槌をうつ。
「でも、日本さんは年末きっと忙しいですから…」
三日間有明に通うと豪語していた日本を思い出して、ハンガリーはふふと笑った。きっと今頃は疲れて寝ているだろう。
二人で笑うと、指揮者が深く一礼する。
「あ、始まるみたいですね」
「ええ」
拍手の音がホールを包み込んだ。静寂の中、白い指揮棒がサッと動くと、音楽が鳴り始める。ヨハン・シュトラウス作曲、「美しく青きドナウ」。ニューイヤーコンサートでは定番の一曲である。
「嫌な記憶しか蘇りませんね…この曲は……」
オーストリアは聞きながら小さな声で呟いた。「美しく青きドナウ」は1867年に作曲された曲であり、1866年の普墺戦争に大敗し、失意の底に沈んだウィーン市民を慰めるための歌だと言われている。苦笑いするオーストリアを見て、ハンガリーも口を閉じた。
昔のことだ。それなのに彼等の心には深く深く刻まれた記憶。楽しいことよりも、辛いことや苦しいことをすぐに思いだしてしまうのはどうしてなのだろう。オーストリアは、はあと溜息をついた。ハンガリーにこんな顔をさせるつもりじゃなかったのに。
「すみません、ハンガリー…」
謝るオーストリアを見て、ハンガリーはふるふると首を振った。にこりと笑って手を握る。
「大丈夫です。悲しいことは、楽しいことで消しちゃえばいいんですよ!今年もたくさん、楽しみましょうね!」
オーストリアは、ええ、と小さく頷く。
「…そうですね。」
貴女と来れて、本当によかった。心の中で、もう一度呟いた。楽しい気持ちはいつも、彼女とともに。今年も彼女と一緒なら、楽しくなりそうだ。くすりと笑うと、ハンガリーの手を握り締めた。
「貴女と一緒なら、帳消しにできそうです。」
楽友教会に、オーケストラの壮大な音楽が響き渡る。オーストリアの呟いた言葉は、旋律と共に消えていった。

             了.