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ダーチャにて 5

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 たっぷり過ぎるお茶休憩のあと、作業が再開され、アメリカにも収穫用の籠と、作業区域が割り当てられた。分担はビーツ畑だ。去年もじゃがいも畑で経験した、既に掘り起こされた野菜を拾って籠に入れて行く作業だが、屈んでずっしり重たい根菜を拾い上げて行くのは、中々手間だった。存外真面目に、黙々と作業をするフランスとプロイセンを横目に、アメリカも手を動かす。
 ロシアはと言うと、アメリカ君が来たから僕、茸取りに行って来る! とやたらに顔を輝かせて、畑を放り出し森の方へ行ってしまった。ロシア人が茸狩りを好むとは聞いていたが、まさかここまでとは思わず、前回のようにうだうだと喋りながら作業を進めるものだと思い込んでいたアメリカは、またも肩透かしを食った。
 別に、農作業が好きなわけではない。一緒に作業をしながら他愛ない話を重ねることで、目に見えて少しずつ、ロシアとの関係が好転して行くのが面白いと感じたからここへ来たのだ。最悪の状態から、如何に関係を逆転させるかを考えるのは、最初こそ必要に迫られてのことで面倒この上なかったが、成果が目に見え始めると、まるでゲームのスコアを伸ばすようで楽しい。
 それなのにロシアのいないところで、何故こんなに大真面目に農作業をしているのだろうと思うと、ビーツを拾う手つきも投げやりになる。だらだらと畝を進んでいると、ひょっこり隣の畑から顔を上げたフランスに、忽ちこらっとお叱りを受けた。
「お前ねー、手伝いに来たなら来たで、きちんとと働けよ! 晩飯抜くぞ!」
「解ってるよ! ちゃんとやってるってば!」
 ロシアと良い、フランスと良い、どうも彼らは農作業にナニカを賭けているふしがある。野菜など、スーパーか通販で買えばいいのにとアメリカは思うが、彼らは違うらしい。自分からここに来た以上、泣き言は飲み込まざるを得ないが、あのプロイセンまでが文句を垂れながらも、一生懸命に作業に従事しているのを見て、まるで自分独りだけ全く仲間外れであるような気持ちになる。
 何故彼らが、土いじりにそんなに精魂詰めるのか、ロシアに聞いてみる必要があるかもしれない。不自由な姿勢で早くも痛み出した腰を伸ばし、土で汚れ始めた手や爪を眺めて、アメリカは深く息を吐いた。
作品名:ダーチャにて 5 作家名:東一口