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玉木 たまえ
玉木 たまえ
novelistID. 21386
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今日も明日も

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不器用な手つきながら、榛名がその大きな手で散々に阿部の体を撫で回して、二人だけの部屋は興奮の熱に満たされていた。
「タカヤ、ちょい、腰浮かして」
「え」
「ほれ、よいしょ」
 促されるままに阿部が腰を持ち上げると、榛名は、す、すっとジーンズを脱がしはじめた。既に先ほどまでの長い長いキスの間に、阿部のTシャツは首の所まで捲り上げられていたから、ほとんど下着だけの姿になる。
 阿部は、自分のあらわになった下半身を見下ろして、今更ながらに赤面した。
 そうか、するんだから、脱ぐよな、そりゃ、と胸の中だけでひとりごちる。
 高校生になってなぜか榛名と付き合うようになってから、キスやら触りっこやら、それからお互いの手で抜くぐらいのことは、まあ、した。
 好きだと言われて泣いてしまったのがケチの付きはじめだった、と阿部は思う。
 あの時だって、泣こうと思って泣いたわけじゃない。うれしいとか、感動したとか、そんな気持ちだって意識になかった。
 ただ、気が付いたら榛名がびっくりした顔をしていて、とても困ったような熱い声で、タカヤ、と呼ぶ名前を聞いただけだ。ぐっと抱き寄せられて、顔を胸に押し付けられて、むせ返るような榛名の匂いと、とくとくと鳴る心臓の音を聞いていたら、なんだか、もう駄目だった。
 阿部は堪えきれずに榛名の名前を呼んでしまった。
 もときさん、もときさん、もときさん。
 そうしたらもっと泣けてきて、榛名がもっと困った声で、タカヤ、と言いながら背中を撫ぜた。
 でも、それだけだった。それだけだったはずなのに、いつの間にか榛名と阿部は付き合っていることになっていた。阿部にとって一番の驚きは、それが嫌じゃない自分で、その上今日はとうとう一線を越そうとまでしていることだった。
 ああ、でもやるんなら早いとこやっちまいたい、と思ったのは、絶対にこの人のせいだ。
 嬉々として阿部から衣服を剥いでいく榛名を見ながら、阿部はそう思った。なにせ、ここしばらくの榛名ときたら、とても見ていられない状態だった。
 握った手の体温がいつも以上に熱かったり、こちらが気づいていないと思ってじっとりと体を舐めるように見回してきたり、キスしたあとの吐息が満足気なのに物足りなそうだったり、阿部には、榛名に全身でもっとしたい、と言われているように感じられた。
 見るからに発情している榛名と一緒にいることほど、いたたまれない時間はない、と思う。榛名がそんな目で見なければ、阿部だって、体の内で熱を上げるものの存在に気づかずに済むのだ。
 一回やっちゃえば、落ち着くかもしんねえし。
 そう考えて誘ったのは阿部の方だ。わざわざ家族のいない時間を狙って家に呼んで、今まで照れくさくて一度もできなかった、自分からのキスまでしかけて、お膳立てしてやったのだ。
 榛名の方も、阿部の意図を汲み取ってくれて、じゃあやりましょうということで、お互い初めてながらもそれなりにうまく進んでいた。
 だのに、どうしたことだろう。榛名ときたら、阿部のジーンズを脱がし終えたとたん、固まってしまったように動かなくなった。
(なんだ……? まさか、ここまできてやっぱ男相手じゃだめだとか、言い出すんじゃねえだろうな?)
 さすがにそれはないと、阿部は笑って否定したかった。
 男同士だなんてことは付き合う前から分かりきっている事実だし、第一、相手の性器の形を手が覚えてしまう程度にはいじりあったりもしているのに、今更すぎる。
 けれども、むきだしの阿部の脚をじっとみつめたままの榛名を見れば、少しくらいは不安になってもしまうのだ。
「あの、元希さん」
 思い切って声をかけてみるが、返事はない。重ねて、どうかしたんですかと言いかけた所で、榛名が突然阿部の脚をがしっと掴んだ。
 あんまり突然だったので、阿部の口から、ひっ、だか、わあっ、だかの短い悲鳴が漏れる。そんな阿部に構った様子もなく、榛名は相変わらず阿部の脚ばかりを見ていた。
「タカヤ……」
「……なんすか」
 榛名は急にがばりと顔をあげた。
「タカヤ、お前、すね毛生えてんじゃん!!」
「…………………は?」
「なんだよお前! シニアん時はつるっつるのお子様だったくせにさー!」
 言いながら、榛名は大きな両手で阿部のすね毛をごしごしとこすり始めた。
「痛い痛い痛い! 何すんすか!」
「や、ありんこ作れっかなって思って」
「はあ?!」
「毛がもじゃもじゃのやつだとこーすっと毛玉みたいなん出来たりするだろー。あれ、ありんこって言うの」
「そんな情報どーでもいーっすけど……、痛いからやめて下さいって」
 阿部が手を伸ばして榛名の腕に触れると、ようやく榛名は力を緩めた。
「うーん、やっぱお前くらいだと、ちょっと毛の量が足んねえかなー」
「……気が済んだなら、離して欲しーんすけど」
「んー……」
 阿部の言葉に、榛名は答えにならない短い唸りで返した。それから、ぐっと身をかがめて阿部のすねに額をくっつけてくる。もう訳が分からない。それから、セックスはどこへいった。阿部は混乱した頭のままで、それでも無下に榛名を押しのけることもできず、戸惑っていた。
作品名:今日も明日も 作家名:玉木 たまえ