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僕の特別

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初めまして、僕の名前は学天。お家は帝人君のパソコンの中です。僕は電脳世界とよばれるネットワーク世界に存在しています。お仕事は帝人くんのためにそんな世界を行き来しています。メールを届ける事もできて、音楽を作ったり聞いたりする機能もあります。
僕自身マスターの帝人君をモデルとして作られているので歌を歌うと帝人君は恥かしそうにしますが喜んでくれると僕はとっても嬉しいです。最近はサイケさんの所の臨也さんに機能を付けてもらってウイルス対策もばっちりブロックできるようになりました。帝人くんのお仕事のお手伝いする時もありますがこれは企業秘密です。

そしてこれからお話しする記録はそんな僕にある変化が起きた日々の出来事です。


僕の特別


「あのねあのねー!弟ができたのー!!!」

ある日サイケさんはいつも通り嬉しそうに元気いっぱいにその人を紹介してくれた。
にっこにっこと笑っているサイケさんの隣にいたのはサイケさんにそっくりな人が立っていて。頭には王冠を被っていて長いマントを翻し優雅な姿を保っている。いわゆる王子様という格好だ。サイケさんと似ている、だけど何か、何かが違う気がした。一瞬だけ心、というのだろうか。僕の中の何かがざわついた気がしたのだ。着ているものが違うせいなのかな、そんな風に単純に感じた。目が合うと彼はにこりと微笑んで、傅いて
「初めまして、俺は日々也。宜しくね」
右手を取られ、ちゅ、と手の甲にキスを落とされた。
「?」
「あー!!!ちょっと日々也!!何ちゅーとかしてるの!!」
「いやだな、ただの挨拶じゃないかそんなに目くじら立てて怒る事じゃないよ?」
どうして手の甲にキスをしたんだろう。臨也さんが帝人君のほっぺによくする行為だ。
「なんでがっくんに…!ちゅーとかだめ!絶対だめ!!」
「サイケ、俺は挨拶のつもりだったんだけど…悪い事をしたね。君が嫌がるなら気を付けるよ、学天君もびっくりさせてしまったね」
「うっ」
反省して落ち込んでしまった日々也さんにサイケさんは言葉を詰まらせてしまった。
「あ、いえ僕は大丈夫ですよ?」
「ち、違うよ?別に日々也の事責めてるんじゃないんだからね?…う、ううう…うん、そうだよね、挨拶でちゅーする所もあるし、俺知ってる…ごめんね日々也、俺子供だったお兄ちゃんなのに」
「わかってくれて嬉しいよサイケ」
「うん!」
同じ顔なのに性格が違うとこうも印象というものは変わるのかと二人をまじまじと見てしまった。
サイケさんは僕から見ても可愛い人だ。天真爛漫でサイケさんの歌も笑顔もいつも楽しく心を温かくさせてくれる。日々也、さんはとても落ち着いた印象を受ける。物腰が柔らかで爽やかで歩く姿がとても優雅で貴賓のある人だ。
「とゆうことで改めて宜しくね、学天君」
「あ、は、はい、宜しくお願いします」

この日僕は日々也さんと出会いました。


○月1日水曜日
今日のお天気は曇り時々雨。降水確率は70%
帝人君はお家に居ます。さっきまで僕とお話してくれました。サイケさんと日々也さんのマスターである臨也さんも遊びに来てます。二人はいつも一緒です。二人が仲良くしていると僕も嬉しくなります。

「こんにちは、学天君」
臨也さんとほぼ同時に日々也さんも遊びに来てくれた。
「あ、こんにちは日々也さん」
「今日はね学天君にお願いがあって来たんだ」
「はい、なんでしょうか」
「俺に君の時間をちょうだい」
優しく微笑んで爽やかさ全開の日々也さん。今日もきらきらしてる。
「いいですよ」
「ありがとう。俺はまだ帝人君のPCまでのルートしか知らないんだ。色々と自分で調べてはみたんだが臨也の仕事はサイケがそれなりに処理してしまっているしね、俺はまだ何も任されていなくてね。だから学天君が知っている色々な事を教えてもらいたいんだ。この世界を案内してほしい」
そうか、日々也さんはまだこの世界に生まれたばかりの存在。まだまだ不安な事はたくさんあるよね。
「お安いご用です!どこか行ってみたいリクエストとかあればご案内します!この世界は本当に広いです。僕もそれなりに熟知しているつもりですがまだまだ未知な空間やルートがたくさんありますからね」
「君が行きたい所なら何所へでも、と言いたいところだけれど、そうだな……」
「でしたらショッピングシティに行ってみませんか?」
「名前からして買い物ができる場所なのかな?」
「はい、たくさんの企業が電脳世界を通して出店しているんです。ネット通販ともいいますね。日用品、食べ物、洋服とか色々あってお買い物がたくさんできるんですよ、もちろんお買い物をする時は帝人君、マスターの許可が必要ですけど見ているだけで楽しい場所です」
そこまで言い掛けて我に返る。
「あ…僕達二人で行っても何もできない…マスターも一緒に見ててもらわないとお買い物、できない…」
他にどこかいい場所はないかな、ああでもショッピングシティでも僕達アバターが交流できる場所もあるし…
『いいよ、俺が許可してあげるから行っておいでよ』
画面の向こう側の世界から顔を覗かせたのは臨也さんだ。
「臨也さん、こんにちは!」
『はい、こんにちはー。学天君はいい子だね。そんな君へ俺からのご褒美だよ。電子マネー使えるようにしておいたから』
【ちょ、ちょっと臨也さん!!いつの間にこんなにたくさんの現金振り込んでいたんですか!しかもこれ僕の口座に勝手に…!!】
帝人君が現れた。怒ってる。ふよふよと僕達の頭上に浮いているお金の数字額を見るとゼロがいっぱいだ。
『この子達が出掛けたいって言ってるからいいじゃん、一緒に買い物しようよ、俺このブランドのネット限定財布欲しかったんだよね』
【だからって困ります!返金します!】
「帝人君、あの、ごめんなさい…僕がわがままを言ったばかりに…」
困らせてしまった、大好きな帝人君を。
【ああごめんね!学天は全然悪くないからね、この人が勝手にやったことだから……それなら、二人ともお買い物頼んでもいいかな?】
「お安い御用さ」
「ま、まかせて下さい!」
『帝人君は優しいね、惚れ直すよ』
臨也さんは帝人君に抱き付いた。帝人君もまんざらでもなさそうに仕方がない人ですね、と口元を緩めた。二人が仲良くしていると僕も嬉しい。

こうして日々也さんと僕はショッピングシティに行ける事になった。そこは
帝人君達の世界にある巨大ショッピングモールをモデルに作られた世界だ。
何階建てなんだろうと思う程たくさんのフロアが存在する。中世ヨーロッパを意識したフロアや近未来を意識したSFチックなフロア、情緒あふれる昭和を色濃く残したフロアもある。僕らと同じような存在がたくさんこのシティにはたくさん集まってきていてみんな自分のマスターたちのためだ。色々な人達とアバターを通して交流することも可能で本物の街のように憩いの場が設けられている。お買い物リストは僕の所に届けられて頼まれたお買い物を済まして帝人君に教えればそれで完了。お買い物の最終決定をするのはもちろん帝人くんだけどお買い物をする際に色々なお店を覗いたりすることができるからそれだけでも楽しい所だ。
「……よし、送信完了っと」
作品名:僕の特別 作家名:りい