百万世界の彼方と彼方
【戦の合間の貴重な一時】
木の枝とは思えないほど頑丈なそこに足を投げ出して座り、隣に座る彼の肩に頭を預けた。彼は大人しくライフルを抱え嫌がらない。これだけ警戒を解いてくれるのにどれほど苦労した事か。
「あ、ほら、ポーパス族の彼らが泳いでいるよ、見えるかい?どうやら海賊の彼らも一緒のようだ。ふむ、何やらピンクの彼が怒っているね。え、何も見えない?まぁ私の視力は5.0だからね。君には米粒並に小さいカラフルな点にしか見えないかもしれないな、はははっ」
その笑いを受けながらも、彼は真下に広がる湖に目を凝らす。
「見えたかい?」
「・・・・・・不可能・・・・・・」
「何、気にする事はない!私の目が少し優れていると言うだけで君の目が仕事に差し支える事はないよ、そうだろう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「困っているね、頷いていいのだよ。全く君はかわいいなあ!あ、よしたまえここでの発砲は賢くないよ、はははははっ!」
「っ・・・・・・!」
「おーいお楽しみ中のとこワリィけど、ちょっといいか?」
なんて気遣いの出来た声のかけ方だろうか。湖と反対の方向に視線を落とすと、若き英雄がロープを登ってきているところだった。
「おや団長君、わざわざここまで登ってくるなんて何かあったのかい?」
「や、別にたいした用じゃねーんだ。今回の事についてなるべく多くの意見を聞いておけって、リウがさ」
面倒臭そうに頭をかいているが素直に従っているのだから微笑ましくもあり頼もしい。見解を広げるために意見を収集する事は情報となり実に重要だ。
「ああ、有能な軍師君らしいね、さすがだ。まぁ私が思うに、一なる王は星を宿す者の戦意を奪うために、あんな世界を繰り返させたのではないか?だとしたら、ナメられたものだ!」
「え、あ、ああそうだな、なるほど、戦意喪失か…ありがとな、ツァ、ツァーベ、なんだっけ?」
「ははは、いいのだよそれで。覚えてくれなくていい。また何か聞きたい事があればいつでも聞いてくれたまえ」
「そうなのか?わかった。じゃあまたなんかあったら頼むな」
「ああ、頼りにするといい」
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はい、終了です。
もうこれをどうやって本編に入れるつもりだったのか今では考えられません…あまりに空気が違いすぎる。
それはそうとツァ様をしゃべらせるのは楽しいのですが非常に難しいですしビュクセはしゃべってくれないし団長は男前にしないとでもう魔のトライアングルですね彼らの会話は!
最後までお付き合い頂き本当にありがとうございました(^^)
作品名:百万世界の彼方と彼方 作家名:ふわ