歓喜と狂気
「みっかどくーん!ただいま!」
明るい表情でプライベートルームに入ってきた折原君はソファで寝ころんでいた僕に抱きつくなり体重をかけてきた。
重たいのだけれどもこうやてって甘えられているのは悪くない。それに顔綺麗ですしね。
「はい、おかえりなさい折原君」
僕は苦笑しながらぽんぽんと背中をねぎらうように叩いてやる。
すると折原君は顔を上げて頬を膨らませ、違うよ!と叫んだ。何が違うのだ?
「違うよ帝人君!約束したじゃないか!この仕事を完璧に終わらせたら名前で呼んでくれるって!」
「あぁ・・・」
そういえばそういう約束をしていましたっけ。いかせん、この自室で言った約束事はどうも覚えられなくていけませんね。
この部屋に入れるのは今はこの青年だけ。四木は今粟楠会へと行かせているので滅多にここには戻ってこられないらしい。
この部屋にいるときだけ、僕は竜ヶ峰帝人としていられる。ただの普通の人間でいられる。
その安心感のせいなのか、ここでの僕は本当に抜けているらしい。(目の前の青年曰わく)
僕はすみません、と謝り彼の頬に手を当てて目元を和らげた。
「お帰りなさい臨也君」
折原君、もとい臨也君はそれはそれは楽しそうに笑うと僕の手に頬をすり寄せてうん!と頷いた。
頬に当てている僕の手に自分の手を当てながら臨也君は僕に顔を近づけてくる。
おや、この体勢・・・やばいんじゃ。
「ねぇご褒美、もっとちょーだい?」
「名前だけじゃ駄目ですか?僕、これでも疲れてるですよ」
「俺も疲れてる。でも帝人君にさわれない方が身体的には辛いと思うんだよね」
「なんですかそれ、ませ餓鬼じゃないんですから」
「ごめんね、俺今真っ盛りだから」
「本当に盛ってますねぇ」
僕は苦笑しながらしょうがないと息を吐いた。そして自ら折原君にへとキスを送る。
「僕、これでも三十路過ぎてるんですからあんまり盛らないでください」
今度は臨也君からキスをされるが、それは僕が送ったバードキスよりも激しく、口内を余すことなく蹂躙され、
お互いの唾液で唇がベトベトになってしまった。
「帝人君が可愛いから無理」
「まったく・・・しょうもない」
くすくす僕らは笑いながらそのまま甘美な快楽へと身を任せた。