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GIFT

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部屋に戻って机の引き出しにしまっておいた写真をみていた。レッドが俺と一緒に写っている写真ってこんなに少ないのか、と改めて思う。俺はなんとなく「お互いにいがみあっている写真」が気に入っていた。昔はよくレッドと真剣にケンカしてお互い大泣きしていた。最後のバトルも、根本的にそういうケンカと変わらないんじゃないかと思うとちょっと複雑だが笑えてくる。俺たちは変わってない。

あんなに鮮やかだった怒りや、心臓が潰れるような冷たい気持ちは時間の経過と共に今は薄れてしまった。それと同じように、泣き喚いたあの日を俺はだんだん忘れていくだろう。挫折し絶望したときのことも思い出すたび細部がぼやけていることに気付くだろう。悔しさも薄れていくだろう。重たい気持ちも軽くなっていくだろう。そのうち性懲りも無く俺はまたレッドに勝ちたいと思うようになるだろう。成功するか挫折するか、それは分からない。俺はぐるぐると同じ所を歩いている。しかし螺旋階段を上るように、だんだん高いところに上っていける。今まで見えなかった景色が見えるようになる。それが分かったから、俺は足掻き続けるだろう。

レッドは今何をしているだろう。あいつのことだから自由にふらふら好きなところへ行って、珍しいポケモンを見つけて追っかけていたりするんだろう。
今はまだ会いたくない。まだ準備ができていない。俺はレッドの不在の間もっと力をつけて、どこかで遭遇した時はまたバトルをふっかけて完膚なきまでに叩きのめしてやる。だからいくらでも会う機会を待っていてやる。ただし待ってる間俺はどんどん強くなるから覚悟しとけよレッド。
作品名:GIFT 作家名:よいこ