ろぐぐぐ!!
*臨也と学人
カプというよりは親子のような兄弟のような…
学人はアンドロイド的な何かです。
「マスター、マスター」
幼い声が鼓膜を震わせたのと同時に、くいくいと遠慮がちにコートの裾を引っ張られる。
ふいと下に視線を向けてみれば、そこには眉を八の字に下げた、愛しい子供(と言えるか分からないけど)が大きな眼を此方に向けていた。
「ん?どうしたのがっくん」
「おてて、怪我してます」
「え、あー…シズちゃんから逃げる時についたのかな」
指摘された手を見てみれば、そこには擦り傷が走っており、ほんのり赤が滲んでいた。
言われるまでは気にしなかったが、気付くと微かな痛みを感じる。
あの化物は何でも投げてくるからねぇ、と軽いため息混じりに吐く。
すると学人は今にも泣き出しそうな顔をして、俺の手にそっと触れてきた。
「がっくん…?」
「痛く…ないですか?」
「え、」
「僕は、“痛い”が分かりません。でも……怪我したら痛いんだって教えてもらいました」
だから。
しゅん、と顔をうつ向かせ、手を先程よりも強く握ってくる。
一方の俺はと言えば、学人の言葉にらしくなく固まってしまっていた。
“痛み”を知らないプログラムの子供。
その子が俺の怪我を心配している。
その事実が、嬉しくない筈がない。
「……ありがとう、がっくん」
よしよしと頭を撫でれば、学人は猫みたいに眼を細めて「ま、ますたぁ」と溢す。
「こんなのへっちゃらだよ、俺は無敵で素敵な情報屋さんだからね」
「本当…ですか?」
「あれ、がっくんは俺のこと信じてくれないの?」
「ち、違いますっ」
わたわたと慌てる子供が愛らしくて、堪らずぎゅうと抱え上げてその滑らかな頬に口付けた。