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キス3題

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「ーーーっ……」
 ちゅく、と濡れた音がやたら可愛らしく聞こえて思わず笑ってしまう。キスのさなかに吹き出すなんて、全くスマートではない。笑いながら「まってまって」といったん唇を離す。呆れたような目で見てくる少年の目と逢って、余計楽しい気分になった。
「ごめん、なんかツボに入った」
「……今のどこに面白い要素があったんですか?」
「大したことじゃないって。ね、もっかいしようよ」
 返事をまたずに口づけたけれど、抵抗はされない。むしろ珍しく帝人の方から臨也の背に手を回してくれたので、気分がのっているのだと思う。

 もう何度キスをしたかなんてわからない。最近では会えば必ずするのだし、それも一度ですまないこともある。
 反応が見たいからなどと建前を掲げていられたのも最初のうちだけだった。もはや完全にしたいからしているだけだ。その欲求に理由があるとしたら、答えはひとつしかない。分かっている、お互いに。
 やんわりと口内を探れば小さな舌がおずおずと同じように返してきて、初めて口づけたときの衝動が蘇る。可愛い。苦しいくらい抱きしめたい。

 相変わらず帝人は臨也とキスをすることについて何も言ってはくれないが、今では臨也にもその気持ちは分かってきた。自分がはじめに犯した失態もだ。
(俺は初め、自分の衝動がどこからきたのか気づいていなかった。阿呆だったな。可愛いと思った相手にキスがしたいことに、好きだから以外の理由はないのに。帝人君はそれを、あの時の俺の様子から見抜いていたんだろう。『臨也さんは本当に僕が好きでキスしたわけじゃない』って)
 だからずっと黙っていた。けれどその沈黙は彼らしくなく、返って臨也の興味を惹いた。結果、単なる衝動でないと自覚させられたのだ。そうと気づいた時、臨也はそれこそ衝撃だった。帝人が計算でやっているわけではないところが恐ろしい。

 でも最近では、いくら言わなくても互いの気持ちは嫌でもわかる。こんなに何度も抱き合って唇を重ねてそれを許容して。それらしい言葉はないけれど、相思相愛に決まってる。それでも黙り続けているのは、この先に進むのを躊躇っているからだ。

 一度言葉にしてしまえば、もうこんなぬるい関係のままではいられない。似た者同士の自分たちだから、本気ではじめてしまえば喰らい合うのは目に見える。今だって、馴れ合うと見せてその実、水面下で争っているようなものだ。どちらが先にこの宙ぶらりんな状態に耐えきれなくなるか。手管を仕掛けて直接火を煽るのは臨也の方、受け入れるかに見せて焦らすことで火に油を注ぐのは帝人の方だ。





(ーーーでも、もう限界)

 そうして躊躇いを燃やし、沈黙を破るのは、どちらか。
作品名:キス3題 作家名:蜜虫