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織牛 宮彦
織牛 宮彦
novelistID. 21680
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そのままのお前が良い

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グローブをしっかり身につけつつ、立向居がゴール前に立つ。両手をパン!とたたき、構えて、言ってくる。

「お願い、します」

この特訓で最後になってしまうだろうと思いながら、ボールを地面に置く。
ゴールを、しっかりと、見据える。

「ツナミ…ブーストォォ!!」

キまった。そう確信するほどのツナミブーストだった。我ながら最高のシュート。

「ムゲン・ザ・ハンド!!!!!」
オレンジ色の光が広がり、無限の手が現れる。そしてボールはあっけなく包まれたかのように見え… 「!」
今度は自分がひるむ番だった。本当にあっけなく包まれたのだ。以前と変わらなく見えるその技に、力強さを感じさせられた。
そして、やがて…ボールはしっかりと立向居の手の中に納まる。

「す…っげ…!」

驚きに言葉が詰まった。立向居自身もとても驚いた、そして嬉しそうな表情をしていた。感極まって思わずギュっと立向居を抱きしめていた。

「やったな立向居!びっくりしたぜ!」

そこでやっと立向居の顔が真っ赤なのに気がついた。三日前の事を思い出した。
いくら鈍感な立向居でも、さすがに俺の気持ちに感づいたのだろう。

「あ…っと、すまねぇ」

謝りながら両手を離す。離れようとしたが、なぜか体が動かない。ふと下を見ると、オレの服を両手でつかんで離さない立向居が居た。

「綱海さん、離れちゃ、嫌です」

立向居が、ぎこちない手つきでオレの体に両腕をまわして、抱きついてきた。

「あの後、ずっと考えてて、気付いたんです。俺…」

そこまで言って、立向居が顔を隠すようにオレの胸にうずまる。なにやらとても可愛い仕草に半混乱気味になってしまいながらも、立向居の小さな小さな声が耳に届く。

「俺、綱海さんの事、好きみたいです」

耳を疑った。見おろすと、耳が赤くなった立向居の頭があった。

「…ぇ、もう一回言ってくんねぇ?」

聞き間違いではなさそうな立向居のリアクションに、だんだんと遅れて喜びがこみ上げる。と同時にいじめてみたい心もつのって、もう一回言って欲しくなった。

「…ぇ、もう一回言ってくんねぇ?」

案の定立向居は嫌がった。

「い、いいいいい嫌です!!」

「もう一回!!」

立向居はそこでバッと顔を上げた。すごく真っ赤になっていた。
立向居は背伸びし、キスしてきた。

「…これで、いいですかっ!」


「…うん、大歓迎」

「…俺なんかで、いいんですか?」

「あぁ」


そのままのお前を愛してる。