甘い贅沢
楽しみにしていると告げれば、水谷だって喜んでくれるだろう。大ハシャギしながら立地や間取りやインテリアまで選び出す姿すら用意に想像できる。
そう、頭ではわかっている。
だけど良くも悪くも素直じゃないオレにはどうしてもできなかった。こんな時ばかりは水谷の楽観的な思考が羨ましくなる。
気付けばCDは一周したらしく、またあの曲に戻っていた。
結局オレは水谷からの申し出を断ることも受けることも出来ず、徐々に深くなるキスに流されてしまうことを選ぶ。
どうせなら流れる曲も将来のふたりの事も、全部どうでも良くなってしまうぐらいこの行為に溺れさせてくれればいいのに、と願いながら。