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まとろはきづいてしまったの

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そうしたら烈斗くんが笑ったから、私はムゥッとした顔になってしまったのよ。
流ちゃんは落っことしたお箸を拾ってジャージの袖で拭きながら、私に視線をチラチラやっている。
紺子は興味がなかったみたいで、またお弁当を食べるのに夢中になったわ。
どうして信じてもらえないのかしら?私が導き出した答えは、間違っちゃいないはずよ。
ふくれたままさくらんぼのヘタを取っていたら、勢いよくミルクを飲み干した烈斗くんが私に向き直って、からかうみたいにして「確かに顔は似てるかもしんねーけど、色が全然違うじゃん」なんて言ってきた。
それもそうね、照美ちゃんはグレーブロンズの髪に薄青の瞳だったけれど、アフロディは淀みのないブロンド・ヘアで目はウーパー・ルーパーみたいに真っ赤だわ。
個人的には以前の方が上品で好ましいけど、黄色と赤の組み合わせもポップで悪くないと思うの。
動物の中には成長する過程で姿かたちや色合いがそっくり変わってしまうものがいるけど、彼もそれと一緒じゃないかしら?別に、特別おかしなことではないわ。
ママが通っているお着物の教室にスペイン人のおば様がいるんだけど、少女時代は明るいオレンジレッドだったけれど今はマルーン・ヘアだと言うし。
人間だってカメレオンみたいに七色に体の色が変わっちゃうのかも。
それとも、神様がいたずらに配色換えゲームを天使たちとギャンブルしてたりして。
もしかしたら、色泥棒なんていうスペシャルな魔法を使う人だっているかもしれないのよ。
本当、世界は私たちの知らないことで溢れているわ。
だから私はきゅっとすっぱいさくらんぼを食べてしまってから、烈斗くんにこう答えたわ。
きっと照美ちゃんは天国で、自分の色と名前をお代にして、また地球へ帰ってきたのよ。
だから髪は色が抜けて金になって、瞳だってアルビノ・カラーになったのね。
我ながら完璧な推理だわ。烈斗くんも驚いたに違いないわ。
私が二個目のさくらんぼに手を伸ばすと、彼は頭をぽりぽり掻いて前に向き直ってしまった。
そうよ、私の言葉をよくよく考えてみて!絶対に納得がいくはずよ。
流ちゃんも、思い出して見て。室戸照美は帰ってきたのよ。
紺子は解らないなら想像してみて。これはとびきり素敵なことなのよ!
 
照美ちゃん、照美ちゃん。
他の誰かが忘れてしまっても、私はきちんと憶えているわ。
だからすぐに会いに来て。
あなたの好きな花の腕輪を編んであげるから、
また私に「ルルル」と笑って見せてちょうだい!