ひそやかにはじまる(前)
巨大な機械たちが動く、無機質な音ばかりの世界。
その一角で甲高い電子音が目覚ましのように鳴り響き、誰かの歓喜の声が上がった。
「凄い、凄いわ! 綺羅星十字団創設から考えても、最高の結果よ!」
「これは…、もう、言葉にならんな…」
科学ギルドの代表であるプロフェッサー・グリーンが、飛び跳ね兼ねない勢いで喜びを示す。
同じくメンバーであるプロフェッサー・シルバーは、テストの終了を何処かへ告げた。
すると中央にある巨大な柱から、エレベーターの1つが降りてくる。
…この基地で、『電気棺』と呼ばれる機械だ。
「やあ。結果は上々のようだね」
響いた声に、2人のプロフェッサーは綺羅星のシンボルである敬礼を返す。
「これはヘッドさん。こちらにおいででしたか」
確認の問いへ軽い頷きを返し、ヘッドと呼ばれた男は彼らが見ていたモニターへと目を向ける。
「…これは、凄いね」
表示されているのは、先ほどまで行われていた戦闘演習の結果だ。
サイバディと呼ばれる兵器へ擬似的に乗り込み、戦った結果が数値となって表示されている。
接地した電気棺が開き、ドライバーが降りてくる。
「テスト結果は?」
降りてくるなりそんな声が飛び、プロフェッサー・グリーンは笑みを零した。
「改めて言うまでもないわ。綺羅星十字団の歴史上で、最高の結果よ」
「そうか」
淡々と返したドライバーは、少年だった。
仮面で隠された顔はもちろん分からないが、年齢的には16、7だろうか。
その少年の目が、ヘッドの姿を捉える。
しかし言葉は発されず、仮面の奥の視線で誰だと問うていた。
プロフェッサー・シルバーは、仮面の上に掛けた眼鏡を押し上げた。
「そうか。君はまだお会いしたことがなかったな。
こちらは第2隊『バニシングエージ』代表、今は綺羅星十字団の暫定リーダーでもあるヘッドさんだ」
「…これは失礼しました」
少年は綺羅星の敬礼と共に、一言謝罪を口にした。
もちろん、気にするヘッドではない。
軽く肩を竦め、彼は表示されているテスト結果を再度見上げる。
「それにしても、凄いねえ。これは」
電気棺を使っての戦闘結果は、綺羅星十字団に属している者はすべて一度計っている。
けれどこんな数値は、初めて目にした。
ヘッドは改めて少年に向き直る。
「まだどこの隊にも属していないんだったね。君の名前は?」
少年はやはり淡々と答えた。
「エクスシア」
その一角で甲高い電子音が目覚ましのように鳴り響き、誰かの歓喜の声が上がった。
「凄い、凄いわ! 綺羅星十字団創設から考えても、最高の結果よ!」
「これは…、もう、言葉にならんな…」
科学ギルドの代表であるプロフェッサー・グリーンが、飛び跳ね兼ねない勢いで喜びを示す。
同じくメンバーであるプロフェッサー・シルバーは、テストの終了を何処かへ告げた。
すると中央にある巨大な柱から、エレベーターの1つが降りてくる。
…この基地で、『電気棺』と呼ばれる機械だ。
「やあ。結果は上々のようだね」
響いた声に、2人のプロフェッサーは綺羅星のシンボルである敬礼を返す。
「これはヘッドさん。こちらにおいででしたか」
確認の問いへ軽い頷きを返し、ヘッドと呼ばれた男は彼らが見ていたモニターへと目を向ける。
「…これは、凄いね」
表示されているのは、先ほどまで行われていた戦闘演習の結果だ。
サイバディと呼ばれる兵器へ擬似的に乗り込み、戦った結果が数値となって表示されている。
接地した電気棺が開き、ドライバーが降りてくる。
「テスト結果は?」
降りてくるなりそんな声が飛び、プロフェッサー・グリーンは笑みを零した。
「改めて言うまでもないわ。綺羅星十字団の歴史上で、最高の結果よ」
「そうか」
淡々と返したドライバーは、少年だった。
仮面で隠された顔はもちろん分からないが、年齢的には16、7だろうか。
その少年の目が、ヘッドの姿を捉える。
しかし言葉は発されず、仮面の奥の視線で誰だと問うていた。
プロフェッサー・シルバーは、仮面の上に掛けた眼鏡を押し上げた。
「そうか。君はまだお会いしたことがなかったな。
こちらは第2隊『バニシングエージ』代表、今は綺羅星十字団の暫定リーダーでもあるヘッドさんだ」
「…これは失礼しました」
少年は綺羅星の敬礼と共に、一言謝罪を口にした。
もちろん、気にするヘッドではない。
軽く肩を竦め、彼は表示されているテスト結果を再度見上げる。
「それにしても、凄いねえ。これは」
電気棺を使っての戦闘結果は、綺羅星十字団に属している者はすべて一度計っている。
けれどこんな数値は、初めて目にした。
ヘッドは改めて少年に向き直る。
「まだどこの隊にも属していないんだったね。君の名前は?」
少年はやはり淡々と答えた。
「エクスシア」
作品名:ひそやかにはじまる(前) 作家名:ひかいきゆき