二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
ひかいきゆき
ひかいきゆき
novelistID. 21770
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ひそやかにはじまる(前)

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 


なんだろう。
朝からずっと、2つ隣のクラスが騒がしい気がする。
「ねえ、ルリ。今日さ、隣がすごく騒がしくない?」
昼休みに尋ねたワコへ、ルリは待ってましたとばかりに目を輝かせた。
「そう! そうなのよ! 2つ隣のクラスにね、転校生が来たのよ!」
「ええっ? 入学式の1ヶ月後に…?」
妙な話だ。
タクトのように無茶な方法を取るならば、ともかく。
思い出して少し笑ってしまったワコは、ルリの手作り弁当に目を輝かせるタクトを見遣る。
「タクト君みたいに、島の外の人なんだね。きっと」
「ん? 何が?」
まったく前後の話を聞いていなかったタクトは、そこでようやく相槌を打つ。
その様子に、今度はスガタが苦笑した。
「なっ、笑うこと無いだろ。スガタ」
「悪い悪い」
欠片もそんなことは思ってなさそうに返して、スガタはおや? と廊下を振り返った。
騒がしさ(正確には黄色い声の方が多いか)が、近づいてくる。
「なんだろ?」
ルリとワコ、そしてタクトも視線を教室の外へ向けた。
このクラスの周辺が騒がしいのはいつものことだが、何事だろうか。
開け放たれている教室の扉の向こうで、誰かが呼んだ。

「あっ、居た! タクト!」

彼らが話題の中心を目にするのと、ガタン、という音を聞いたのは同時だった。
驚きに立ち上がったタクトは、驚いた面々を気にすること無く駆け出す。
彼を呼んだのは、2人の黒髪の少年。
良く似た顔立ちで、彼らが双子であろうことは誰にでも察せられた。

「シン! 刹那!」

記憶より、彼らの姿はだいぶ大人びている。
けれどあの頃のように上げられた右手に、タクトはパシンと自分の右手を合わせたのだ。
…いつからか、挨拶代わりになっていたハイタッチ。
懐かしむよりも前に、嬉しさが込み上げる。

「久しぶり…っ!」

まさか、彼らに出会えるなんて。