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呟きろぐぐ Ⅴ

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俺は何時如何なる時も君と共有していきたいんだ。
そう言って彼は無邪気に笑う。
例えば、彼が『仕事』で知らない誰かと道を歩いていて、ただの高校生である僕が横を通り過ぎる。
声を掛けたり、目線を合わせたりすることもなく、他人のようにすれ違う瞬間、彼の小指と僕の小指が一瞬絡んで解けた。
一瞬だけど、確かに僕と彼はその瞬間を共有する。
それを彼は僕に望んで、僕もまた受け入れた。
これが恋だよと彼は笑う。
僕だけが知っている顔で。
僕もまたこれが恋ですかと、多分彼にしか見せたことのない顔で呟くんだ。
ああ、早く家に帰ろう。
そして彼の好きな料理を作って待っていよう。
きっと数時間後には古びたアパートの古びたドアを軽快にでも忙しくノックする音が聞こえるんだ。
これが恋だよと笑う彼に、きっと僕は抱きしめられる。
そして僕もまたこれが恋なんですねと彼を抱きしめるんだ。
小指では足りなかった想いを共有するために。


作品名:呟きろぐぐ Ⅴ 作家名:いの