ドラスティックな恋
[border(英)境界線]
解っている
この境界を越えたが最後、
僕が僕でなくなるくらい
あと少し、ほんの、手を伸ばせば届くくらいに
重い宿命を背負い、泣き続ける君がいて
慰めてあげたい、抱き締めてあげたい、のに境界が僕の想いの邪魔をする
一歩、たった一歩がなかなか踏み出せず
常に想いの重さが入れ替わり続けて
ぐらぐら、不安定な僕の天秤
解っている、
彼への想いで天秤が傾いたら最後、
僕は弱くなることくらい
それでも、
「…泣かないで」
彼の涙を拭いたい一心で
過去の栄華を忘れ、未来を捨て、立場を脱ぎ捨てて、僕は境界を飛び越える
自分の弱さも彼の弱さも
すべてをそっと、真綿に包み込んで
涼しい顔をして境界を飛び越える
そうしたらきっと――僕は、かけがえのないものを手に出来るのだ