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きみこいし
きみこいし
novelistID. 14439
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話し合ってみよう:VARIA<前編>

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話しあってみよう -Let’s talk to each other / side:VARIA-

某日、深夜未明。
ボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアーのアジトは震撼した。
いや、比喩表現などではなく、マジに。


ゴゴゴゴと屋敷全体が大きく揺れ、多大なる負荷にあちこちでギシギシと軋み声があがる。
「う゛ぉぉぉぉい!何事だぁぁああ!!」
地震か、出入りか、抗争か。と、扉を蹴破って幹部待機室に飛び込んできたのは、二代目剣帝かつヴァリアー作戦隊長を仰せつかるスペルビ・スクアーロ。夜も遅いというのに、相変わらずの賑やかさ(・・・一人なのに)だ。
「んな大声出さなくても聞こえてるっての」
「相変わらずー無駄にうるさいですよねースクアーロ隊長ー」
今夜は特に重要な任務、案件はなかったにも関わらず、幹部待機室には運良く(?)ベルフェゴールとフランが詰めていた。
中央に置かれたカウチにだらしなく寝そべり、ナイフをもて遊んでいるベル。そのベルから可能な限り距離をとったフラン。彼のファンシーな着ぐるみの頭には、グサグサとナイフが刺さっていたりする。つぶらな瞳のカエル君に鋭利なナイフ。なかなかシュールで猟奇的な光景である。
「ベル、フラン、いったい何事だ?!」
「しらねーよ、オレはコイツでちょこっと遊んでただけだし?」
「ホント、サイテーですよねーベル先輩。パワハラですよパワハラ。あーはやく死んでくれないかなーこの堕王子」
「あ?なんか言ったか?!このクソ、ガエ、ル」
ベルの手が優雅にひらめき、グサッ、ドシュ、ザクッとこれまた見事にナイフがフラン(カエル?)の後頭部へ突き刺さる。背後から襲ってきた衝撃に、ただでさえ窓際に立っていたフランはそのままベチャリとガラスに張りついた。
「ゲロ。なにすんですかーベル先輩ー」(ホント早く死ねよ。ぼそっ)
「聞こえてんぞ、てめぇ。スクアーロ!この新入り生意気すぎだぜ、マジに殺りてぇ」
「それはミーのセリフですー。隊長ーさっさとこの堕王子の暗殺許可出してもらえないですかねー」
「出すわきゃなぇだろうが!」
(ちっ、ヤな上司ばっかだし。早く死ねよ。ぼそっ)
「あぁ?」
「いえいえ。あーあれってウチの怒りんぼボスじゃないですかーなんか空飛んでますーー」
「あ?どれだよ」
「どこだぁ?」
ベチャリとガラスにへばりついているフランに並び、どれどれと窓際に集まる幹部たち。

彼らの視線の先には、なるほど確かに空中に浮かぶ我らがボス、ザンザスの姿が見える。遠目でもはっきりとわかる、黒髪に特徴的な髪飾り、引き締まった長身、真紅の双眸。
なおかつ彼らの視力は大変によろしかったので、見たくもない所までバッチリと視認できてしまったりする。
例えば、眉間の深い深いしわだとか、額に浮かぶ青筋だとか、凶悪な笑みを浮かべた口元だとか。つまり、現在ボスは非常に機嫌が悪く、かつその両手には最強の破壊力を誇る愛用の武器を所持していることも。
「・・・う゛ぉい、なんでウチのボスは銃なんて持ち出してやがんだ?」
「しらねーけど、マジおっかねぇ」
「あーきっとアレが原因じゃないですかー?」
フランが指さす方向に視線をやれば、ザンザスに対峙して、これまた空中に浮かぶ小柄な人影が見えた。
「げっ!ツナヨシじゃねぇか」
「んーなんかー闘ってるみたいですねーー」
「みたい、じゃねぇよ!ガチでやりあってんぜ!!」
そう、ベルの言葉の通り、ツナヨシとザンザスは今現在絶賛戦闘中である。
闇夜を引き裂いて、二つの炎が激しく瞬く。ひとつは血のごとき紅蓮の炎であり、もうひとつは目の覚めるような鮮やかなオレンジだ。
炎はぶつかり、はじけて、時に混ざり、闇夜に炎華が乱れ咲く。
「ザンザス、お前いい加減にしろよ!」
「は、うぜぇ。ガタガタぬかすな、ドカスが!!」
互いに激しく怒鳴りながら、殴る、蹴る、炎で灼き散らす。闘いの煽りをくって、アジトの壁にはボコボコと大穴があき、何本か柱は折れ、地面もえぐれていたりする。その地面では、不幸にも巻き添えをくったのか下級戦闘員たちがヒクヒクと手足を痙攣させて倒れているわけで。
つまりは、先ほどからアジトを震撼させている原因がコレだ。
げんなりと元凶の二人を眺めるスクアーロだった。

「だいたい、なんでツナヨシが来てんだぁ?」
「監査だよ」
スクアーロの呟きにこたえて、トコトコと待機室に入ってきたのは、お金大好きな守銭奴幻術使いマーモンである。
「マーモン、どういうことだ?」
「ツナヨシはヴァリアーの会計監査に来てたのさ」
「会計監査だぁ?」
こと、こういう方面には疎いスクアーロに、金銭感覚マヒしまくりの堕王子ベル、興味ナシのフランを順に見やって、ふぅと一つため息をつくとマーモンは説明を始めた。
「そう、メインはヴァリアー内の経費チェック。まあ、経費といってもボスはあの通りだし、それでボクとレヴィが手伝いに入ってたんだけどね。ウチの予算枠が大きいというのはボンゴレ内じゃ有名な話だし、最近上の方でもイロイロうるさくなってるみたいでね。やりにくいったらないよ。まあ、それはともかく、今回の監査で問題になったのは福利厚生費。特に飲食関連費なんだけど・・・」
(((・・・ああ、なるほど)))
非常に生暖かい空気が待機室をつつんだ。
ヴァリアーの飲食関連費。そこで問題となれば、ただ一つ。
――――平たく言えば、ボスの酒代だろう。
幹部待機室にいる全員に納得の表情が浮かんだ。

自慢ではないが、ヴァリアーは金喰い部隊である。
ただでさえ物は壊すわ、任務がなくとも怪我人は続出、器物破損、建築物半壊、全壊などは日常茶飯事。ツナヨシの元には頭の痛い報告書、請求書、陳情書がこれでもかと上がってくる。被害金額はハンパない。
さらには、我らがボスは大空のように懐具合がとても広い、ひらたく言えば金に無頓着。そのくせ、衣食住すべてのクオリティにこだわる人間なので。ボスの主食である酒についても、ハイクオリティーの一級品ばかりである。これまたハンパない金額である。
加えて、あの性格だ。まともな対応、しかも会計関連などできようはずもない。
大方、いい加減な受け答えをしていた、もしくは無視しまくっていた所、ザンザスの酒代のケタ数に驚愕し、デスクワークでストレスも溜まっていたのだろうツナヨシはプッツンとキてしまったらしい。
――――さもありなん。
悲しいかな、見てきたように想像がついてしまうスクアーロ達なのだった。
「あ、そういやレヴィはどうした?」
「ああ。レヴィなら一緒に補助してたけど、真っ先にボスたちの余波を食らってね。部屋で撃沈してるよ」
「・・・う゛ぉい」
「っとに役に立たねぇな、あのムッツリ」
「さすがレヴィさん。まったくもって、見かけだおしですねー」
致し方ないとはいえ、何気にかなりひどい言われようだ。
ちなみにもう一人のヴァリアー幹部・ルッスーリアは就寝中である。自らの美容を維持するために、任務のない日は特注のパックを装備し、さっさと就寝。朝まで起きてこない。


ともあれ、そうこうするうちに窓の外ではツナヨシ達の戦闘はさらに激しさを増していく。