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the night of worldend

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06.そして世界は動きを止めた





終ったんだ、と誰も言わなかった。



旅の終わりを告げたのは空に立ち上る閃光。
瘴気がなくなって(世界は続いて)、空を飛び始めた鳥たちも、息を取り戻したすべての生き物が、そこに生きていた。
なのに。

「みんな、笑わなくなったよね」

緑の髪を揺らして、導師イオンの面影をそのまま残したフローリアンの突然の声に、アニスは一瞬なにを言われたのか分からない顔をした。
瞬きを繰り返してから、ああ、と溜息と一緒に出たやり場のない思いを吐き出す。少し身長も伸びて、顔の丸みも若干なくなってきたアニスは、ゆったりと笑った。

「どうしてそう思うの?」

昼間の、ダアトの教会へと続く道の途中。
ゆるやかな、午後。そんな日常。
これは誰がくれたものなのか知る者も多い。けれど、誰も、なにも知らない。

「ルークが、帰ってこないから」

導師イオンよりどこか幼い口調。
たどたどしいのに、それはどうしてこんなにも的を射た答えなのか。アニスは少し驚いて、俯き加減の顔を上げた。
自然と目に映る鮮やかな緑に、かつての人を思い出す。フローリアンが悪いわけではない。技術を作り出したジェイドが悪いわけでもない。誰も悪くない、そう言い聞かすように、アニスは思う。
そして、そだね、と感情を押し殺すように同意した。

「まだね、終ってないんだ。まだ、続いてるんだ」



終ったんだ、と誰も言わなかった。
旅の終わりを告げたのは空に立ち上る閃光。
瘴気がなくなって(世界は彼を喰って続いて)、空を飛び始めた鳥たちも、息を取り戻したすべての生き物が、そこに生きていた。
生きているのに。なのに。
すべてが、その瞬間に閉じたように、おもえて、
誰かが(それが自分か、仲間なのか、誰にも分からなかったけれど)、
ようやく。



―――― やっと、泣いた。







君のすべてを眠らした歌で道を示すよ。だから、
(目が覚めたら、かえって、おいで)



作品名:the night of worldend 作家名:水乃