モノグラム
と答えた。は!?とオーバーリアクションを取りながら、律は澪に詳しく問う。なんでも、小学校低学年時に起こった出来事らしく、「キスしたことあるか?」「ない」「じゃあ試してみようよ!」というベタな展開から律と澪は唇を交わしたらしい。だから、唯にされたのは二回目。
なんという事だ、全く覚えていない。
「別にいいよ」
真っ赤な顔で澪は言う。
「初めてとか、大事だけどさ。これから、いっぱいするんだか、ら」
段々小さくなっていく声と、その言葉に律の胸が突き動かされる。まさかこんな表情が自分に向けられるだなんて。
あぁ澪の唇奪いやがってと思っていたけど今この状況があるのは紛れもなく唯のお陰であるから故、律は少しだけ感謝したい気持ちになった。