Ⅷ→D
調和を司る女神は自らの名をコスモスと称した。
彼女はスコールに、他の9人にもしたであろうことを説明する。
自分のこと、この世界のこと、異世界から戦士達を召喚したこと、…倒すべき敵のこと。
「…私からの説明は以上です。」
「(なぜ“倒すべき敵”としてすぐにあの女-アルティミシア-が出てきたんだ?)」
「何か、他に聞きたいことはありますか?」
「…アンタは、俺を…カオスと戦うために異世界から戦士を召喚したと言ったな。ならば…戦いが終われば、もとの世界へ帰れるのか?」
「全てが、終われば。」
「……。」
「カオスとの決着が着き、すべてが終われば、あなた方の失った記憶も戻るでしょう。記憶の欠如は召喚の弊害のようなものですから…。」
「そうか。(なら、)」
黙ってコスモスの話しを聞いていたスコールが、そこで一度、瞼を伏せた。
「期限はカオスとの決着が着くまで、報酬はもとの世界への帰還と失った記憶。契約成立だ…俺はアンタに協力しよう。」
自然と出た言葉と、動いた体。
右手を顔の横で揃え、コスモスに手の甲を見せる…敬礼のような仕種だった。
「…ありがとう。」
女神は目を伏せ、静かに言う。
その表情は微笑みだったが、どこか悲しげなものが入り混じっていた…。
世界に残った10人。
神々の闘争に招かれた10人の物語。