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小雲エイチ
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沈む街
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苦笑いを浮かべてそう返すと、青葉君は「あれ? そんなこと言ったっけ?」と言わんばかりにキョトンとした表情を浮かべ、やがて悪戯を思いついた子供のように眉根を寄せてはにかんだ。
青葉君の丸い瞳がすっと細る。
歪んだ瞳が、僕を捕らえた。
「じゃあ、先輩――キスしても、いいですか?」
猫が甘えてくるような声でそう言われ、ネクタイが、少し引っ張られる。
少し離れた場所で、稲光が走り、遅れて雷鳴が響く。
雨に遮断された薄暗い路地裏の中、僕達はどちらからともなく冷えた唇を重ねた。
作品名:
沈む街
作家名:
小雲エイチ