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NAMEROU~永遠(とき)の影法師

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【第二部・第一章】



僕を裏切り、僕の心をズタズタに踏み躙った憎いおっさんの後を追い、海に飛び込んだまでは良かったが、ところが何ということだろう、ワカメだ、またワカメだ、僕の運命はとにかくワカメに呪われているのだ、おっさんに奪われたワカメとはまた別のワカメが、潮を蹴ろうとした僕の足に絡み付いた、
「――……!!」
振り解こうと僕は必死に腕をかいた、けれどもがけばもがくほど、身体はワカメに絡め取られていく、
「……たっ、たすけ――!!」
そのとき上がった大きな波が、水面に僅かに残っていた僕の顔にまともに被った。僕はしこたま海水を飲み込んだ。
(……、)
水中に引き摺られていきながら、頭の上にゆらゆら重なる光の輪が見えた。――ああ、もうあの陽の光を直接見ることはないのかなぁ……、あんなに重たかった身体が、いまはふわふわと宙を漂うように軽い。もう、何もかもどうでもいい気がした。あんな、ほんの束の間浜で話したおじさんのことなんてわざわざ憎む価値もない、忘れてしまえ、忘れればいいじゃないか、おじさんなんか、おじさんのことなんて……、
「――!!」
僕の身体に再び熱い血が甦った、――許さないぞ、僕は絶対に!!! 何が何でもあのグラサンヒゲ野郎、獲っ捕まえて追及してやる! 僕は俯いていた顔を上げた。遥か上空に揺れる光めがけて水を掻く。
(……あ、あれっ? ……あれっ??)
ところがだ、僕は焦った。少しも身体が進まないのだ、気配を感じて僕は足元を見た。ひと房のワカメが、僕の足首をがっちりホールドして巻き付いていた。
「ここここなくそーーーーーーっっっ!!!!!」
僕は両手で腿を抱え、力任せに振り抜いた。何度も何度も、息の続く限り繰り返し、
「ふんぬーーーーーーーッッッッッ!!!!!」
――ぶちっ!
僕を戒めていたワカメがついに千切れた、「やっ……!」しかし解放の喜びも束の間、僕の身体は海底から沸き上がった大渦に飲み込まれた。
「ヒィィィィィィ!!!!!」
螺旋を描いて渦の目に吸い込まれていきながら、僕の意識はそこで途絶えた。


+++++《第二部・完》