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こらぼでほすと 再会1

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歌姫様は、最強いや最凶である。(某坊主談) 

 世界中、ついでに、宇宙にも、その情報網が、きっちりと張り巡らせられており、小さ

なことまで、きっちりと把握していたりする。で、もって、爆発に巻き込まれて死にかけ

ているマイスターを、生き返らせるぐらいは朝飯前だ。とりあえず、捕獲して再生治療の

ために、ポッドに叩きこむと、地上へ降ろした。

「そちらに所属のマイスターの一人を保護しております。ただ、怪我が酷くて、すぐには

復帰はできかねますので、お知らせだけさせていただきますね。」

 てな、有難い報告が、被害甚大なソレスタルビーイングにもたらされて、それを聞いた

結構、元気でぴんぴんしているマイスターが、その場所へすっ飛んで行った。もちろん、

半壊のガンダムエクシアは使えないから、小型艇だ。

「それは、ラクスが悪いでしょう? 刹那は、心配だから飛んできたんだもん。ね? 刹

那? 」

「キラ、あいつは聞いてないぞ。それより、どうすんの? これ? 」

 目の前の広大な屋敷の庭半分が壊れていた。そこに、突っ込んだ形跡の小型艇の残骸も

、ちらほらしていて、まだ燻っている様子だ。

「どうするも何も・・・片付けるしかないだろう。あの残骸は、まずいから撤去だな。ハ

イネ、手伝ってくれ。」

 そして、無謀な加速で突っ込んできた小型艇が、どこにも所属しない、いわば、テロリ

スト様の持ち物であるから、それは隠蔽するしかない。やれやれ、と、アスランが、自分

のMSへと走っている。

「それから、ここまでの軌跡を抹消してくれ? キラ。」

 ハイネのほうも、仕方ないと、重い腰を上げたが、レーダーで補足されているだろう情

報を、今から消してしまえる天才ハッカーに依頼する。

「そうだね。・・・悟空、八戒さんに、僕のおやつ頼んでよ。」

「何がいい? 」

「うーん、そろそろマンゴーかな? 」

「あー、おれ、それだったら、シャーベットがいいな。マンゴーの。」

「うんうん、それもいいね。じゃ、それで。」

「オッケー」

 唯一、こういう事件の時は、仕事がない悟空は、歌姫様からのオーダーで怪我人の見舞

いに来ていた八戒の元へ走る。仕事が終わったら、アイスを食べるためには、作ってもら

わないといけないからだ。ロックオンと刹那は、以前、『吉祥富貴』で一ヶ月、臨時のホ

ストをしてもらったから、みな、知り合いだ。



 怪我人と言っても、再生治療を受けているから、怪我自体は完治している。問題点は、

何週間も身体を動かさなかったから体力不足に陥っているというところだけだ。三日前に

意識を取り戻したロックオンは、ようやく客間に移ったばかりの状態で、刹那の急襲を受

けた。無事だったのか、と、喜んだものの、刹那は何も言わずに、ロックオンの身体にし

がみついたままだ。
「なあ、刹那。悪かったって。連絡も何も・・・・俺だって、意識が戻ったのは、二、三

日前なんだよ。」
「・・・・・・・」
「刹那君、ロックオンも知らせたくてもできなかったんですから、責めるのはお門違いで

すよ。」
「・・・・・・・」
「おまえ、うちのサルより大人気ないな? 」
「・・・・・・・」

 宥めようと怒らせようとしても、反応はない。小型艇で、ここへ突っ込んできて、ロッ

クオンを見つけてから、刹那は無言で、しがみついている。これで泣いてたら、可愛気も

あるのだが、むすっと口をへの字にしたままだ。それが、いかにも刹那らしくて、ロック

オンは、やれやれと背中を叩いている。まあ、あの状態では、刹那だって生きているとき

は思えなかっただろう。実際、なぜ、生きている? と、ロックオンだって意識が、戻っ

た時に、歌姫に尋ねたほどだ。

 そして、歌姫の返事が、「私に不可能はありません。」 だった。

・・・・あれって、死んでても生き返らせられるってことか?・・・・・・てことは、俺

、死んでたんじゃ・・・・・・

 嫌なことは忘れよう、と、当面の問題に意識を戻した。自分にしがみついたまま、うん

ともすんとも言わない刹那は、文字通り、すっ飛んで来た様子なので、あちらに連絡して

おかないと、と、思いついた。

「八戒さん、宇宙空間との通信装置ありましたよね? 」
「ええ、でも、すでに、連絡はしてあるんじゃないですかね。あれだけ一直線に来てくれ

たら、バレバレですし。」
「八戒、それは問題はないぜ。キラが、ぴぽぱぽすりゃどうにかなってるだろ。」

 「吉祥富貴」のナンバーワンにして、最高のコーディネーターなキラは、ネットワーク

への侵入や、データの改竄なんてお手の物だ。ついでに、宇宙最凶の歌姫様が、そもそも

、ロックオンを拾ってきたのだから、そこいらのセキュリティーは、先に強化もされてい

るはずだ。だから、そちらの心配はしなくても大丈夫だと、悟浄が請け負った。

「確かに、そうですが・・・・問題は、刹那です。こいつ、任務途中で出てきてたら、そ

れこそ問題だ。」

 たぶん、今のところ、表立ったことはしていないだろうが、情報収集だとか、新しいM

Sの製作とか、陰では動いているはずで、刹那だって、それには参加しているはずだ。

その意見に、八戒と悟浄も、あーと納得して頷いた。




「それなら、問題はないから。それより、ロックオンが生きてるのが、私はとても不思議

なんだけどね? 」

 連絡をつなげたら、いつものように、スメラギが五合壜の酒を片手に笑っていた。
「ひでぇー言い草だな? おい。」
「まあまあ、そう怒んないで。これでも喜んでるんだから。・・・・それでね、刹那が、

使い物にならないから、しばらくは預かってくれる? どうせ、そっちもリハビリでしょ

? 頼むわよ、ロックオン。」
「え、おいっっ。」

 問答無用で、子守りを押し付けられたらしい。腰には、まだ、その刹那がへばりついた

ままだ。確かに、リハビリはするので、介助の手は有難いと言えば有難い。

「刹那、俺のリハビリの手伝いしてくれるか? 」

 背中に当たっている刹那の頭が、こんこんと二度ほど、背中に当たった。イエスという

ことらしい。

「おまえ、使い物にならないってさ。何をやらかしてきたんだ? 言ってみな。」

「・・・・・・・・・」

「いつまでも、だんまりで、どうするんだ? 」

 頑固というか、愛想がないというか、なのだが、かなり心配してくれたんだろうと、思

うので、ロックオンのほうもしばらくは甘やかしておくことにした。まだ、刹那には話し

ていないが、ロックオンは、マイスターとしては戦線離脱することに決まっている。また

、それを聞いたら、刹那が暴れそうだから、しばらくは内緒で、と、八戒たちにも頼んだ



「メシ食うか? おまえ、来てから、何にも食べてないぞ。」

 まだ、喋らないつもりらしい。通信ルームから、そのままずるずると刹那を纏いつかせ

て出てきたら、悟空が待っていた。

「おい、刹那、マンゴーのシャーベット食べるぞ。」
作品名:こらぼでほすと 再会1 作家名:篠義