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こらぼでほすと 再会2

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ロックオンの部屋に放置された紙袋は、四つ。とりあえず、整理だけはしておこうか、

と、それらを取り出した。宛がわれた部屋は客室ではあるが、長期滞在も可能なようにク

ローゼットなんかも充実している。自分の分は、先にサイズがきっちりしたものが用意さ

れていた。ふと、クローゼットを覗いたら、昨日にはなかった刹那のサイズも用意されて

いた。

「すげぇーな、ここは。」

 あれほど、ぶつくさと考えていたことは、先に準備万端に整えられていた。まあ、自分

のだって、そうだったのだから、ここの使用人たちにしてみれば、朝メシ前のことなのか

もしれない。とりあえず、下着と服は、同じ場所に入れておくことにした。さすが、キラ

の旦那は、定番の誰が着ても問題のないTシャツやジーンズを用意してくれていた。

 そして、キラがチョイスしたであろうお菓子とゲームの多さに絶句する。キラらしいと

いうか、なんていうか、肝心のゲーム機本体が入っていないところが、ミソといえばミソ

だ。

・・・・・さすが、電波天然・・・・・・・

 お菓子とゲームは、サイドボードのほうへ放り込み、やれやれ、と、一息つく。暇とい

えば暇だ。今まで、ミッションとか訓練とか整備に追いまくられていたので、こんなにぼ

おーっとしているのは珍しい。仕事絡みがなくても、食事を作ったり、掃除をしたり、な

んだかんだと家事めいたことをやっていたので、何もしなくていい、という状況は、慣れ

ない。

・・・・・暇つぶしに、庭でも散歩して読書でもするか・・・・・・・

 屋敷のライブラリーは自由に使ってくれ、と、言われているので、そこへ赴いて軽そう

な読み物を数冊借り出して、庭へ出た。

 フラットな面での移動には問題がない。それは、人工的に作られた場所だけだと実感す

るまで数分。芝生の上を歩いていて気付いたが、ちょっと遅かった。ぺこっと凹んでいた

らしい箇所に足を置いたら、踏ん張りが利かなくて、そのまんま芝生へダイブしてしまっ

たからだ。

「ぃててててて・・・・なるほど・・・・庭には凹凸があるんだな。」

 納得して、芝生の上で、そのまんま転がってしまった本を、一冊手にして読み始めた。

とてもいい天気で、最初は気持ちがいいと思っていたら、段々と頭痛がして目が回る。あ

れ? あれ? と、ロックオンが慌てても、上手い具合に動けなくて、とりあえず日陰へ

避難したところで意識がなくなった。






 冷たいものがあたって、意識を戻したら、口をへの字にしている刹那の顔があった。

「たぶん、日射病だと思うんだがな。気分はどうだ? 」

 その背後から覗きこんできたのは、バルトフェルトで、さらに、向こうには、シンとレ

イの顔もある。

「あれ? どうかしたのか? 刹那。」

 なんで、そんな泣きそうな顔してんだか・・・・と、ロックオンのほうは身体を起こそ

うとするが、ものすごい勢いで刹那に肩を地面に押し付けられた。

「おい、刹那。」

「ロックオン、気分はどうだ? 」

「え? あーちょっと目が回ってるかな。・・・・ああ、俺、倒れてましたか? バルト

フェルトさん。」

「盛大にな。こいつは、動かしていいか、どうか判断が付きかねたらしくて、俺まで呼び

出されたんだ。おまえな、意識が戻って三日だという自覚がないだろ? 」

 昼時なので、一緒に食事をするべく戻ってきた刹那は、部屋にロックオンがいないから

探し回ったらしい。そして、それに付き合っていたシンとレイが、庭で倒れているロック

オンを発見して、バルトフェルトを呼びつけた。バルトフェルトは、ほぼ毎日のように、

この屋敷の地下にあるラボへ顔を出している。

「それほど動いちゃいないつもりだ。」

 屋敷の中をうろついて、それから庭に出たくらいのことだ。無理した範囲とは到底思え

ない。

「太陽光を舐めているからだ。健康なヤツでも、半日浴びれば日焼けする代物だ。・・・

・とりあえず、医者は呼んだから診察してもらえ。・・・・おい、刹那、ベッドの用意を

先にしてくれ。」

 どっこいしょ、と、バルトフェルトが、荷物のようにロックオンを担いで歩き出す。刹

那とシン、レイは、先に部屋へと走っていく。

「なあ、ロックオン。片目だと距離感の問題もあるが、太陽光も注意だぞ。距離感は、あ

る程度で慣れるが、直射日光は負担が大きい。」

「そういや、バルトフェルトさんは片目でしたね。」

「おまえと一緒だが、俺は片手、片足も吹き飛ばした。まあ、こっちは義手と義足で、ど

うにかなっているけどな。」

「つまり、俺よりすごい生き返りだったわけだ。」

「いや、そうでもないだろう。俺は地上だったからな。」

 そういや、鷹が、そうだった。と、バルトフェルトが呟いた。

「フラガさんが? 」

「ああ、ヤツは、宇宙空間でヘルメットまで飛ばしたのに、生きてた。あれは壮絶だった

ろうな。ははははは。」

 ・・・・・・もしかして、何かしら生き返ったヤツの集団?・・・・・・

 「吉祥富貴」の特別な意味が、ちょっとわかったかもしれない。


 診断結果が、軽い脱水症状と日射病であると、わかると、バルトフェルトは、「ほらな

。」 と、シンとレイにウインクした。

「経験者は語る、というんだ。」

「そういや、キラさんが、そんなこと言ってたっけ。バルトフェルトさんもフラガさんも

奇跡の生還者様だって。」

「ハイネとトダカさんも入ってたぞ、シン。」
レイが、さらにツッコミをする。いや、もう、いろんな意味で、奇跡の生還者様が、吉

祥富貴には勢揃いしている。実のところ、八戒だって、それに該当しているのだが、その

段階で所属が変わったから、枠から外れているだけだ。

 点滴して、とりあえず安静にしていれば問題はない、ということなので、ロックオンの

ほうは、じーっと傍で睨んでいる刹那に、「心配するな。」 と、ひらひらと手を振って

いる。

「刹那、とりあえずメシ食わないか? 俺らも食って帰るからさ。」

 午後からバタバタしていたので、すっかり陽は落ちている。いつもなら、このまま帰る

ところだが、刹那の食事の相手をしていけ、と、バルトフェルトから命じられた。

「ロックオンなら問題ない。なんなら、おまえが食っている間、俺が診ていてやろう。」

 心配だというなら、代わりに自分が、と、バルトフェルトは申し出たのだが、勢い良く

ぶんぶんと首を横に振っている。

「刹那、悪いんだが、庭に三冊、本が転がってるはずなんだ。それを回収してくれないか

? 」

 ロックオンが失念していた本のことを頼んでも、ぶんぶんとクビを横に振る。それは、

俺が、と、レイが、さっさと出窓から外へ飛び出した。ぎゅっと布団の隅っこを掴んで、

ロックオンを睨んでいるので、どうしようもない。動かないという意思表示は、頑固なほ

どだ。

「ロックオン、ここで食べてもいいか? どうも、おまえのところの少年は動かないらし

い。」

「俺はかまいませんが、いいんですか? 」
作品名:こらぼでほすと 再会2 作家名:篠義