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こらぼでほすと 再会2

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「いいも何も、それ、放置しといたらメシも食わないつもりだろう。」

 一食ぐらい抜いても死なない、と、刹那は思っているだろう。自分がいない間に、ロッ

クオンが倒れたというのが、気になっている様子だ。

「おまえが悪いんじゃないぞ? 刹那。俺がうっかりしてたからだ。」

「・・・・・・」

「じゃあ、ここでなら食うんだな? 」

 無言で、コクコクと首が縦に振られたので、シンが食事場所を変更してくれるように、

屋敷の人間に頼みに出て行った。

「なんだか、野良猫から甘えたの猫になってるな? 」

「びっくりさせたんで、その所為でしょう。そのうち、元に戻ると思います。」

 あはははは・・・・と、笑って、刹那に目を遣ると、刹那は、やっぱり睨んでいた。


 食事が済むと、シンとレイは、早々に帰った。バイトがあるので、ゆっくりしていられ

ないとのことだ。ただ、キラのほうから、相手をして来いと命じられているので、多少の

遅刻は認められているとも言っていた。

「刹那、またな。」

 シンは気軽に、刹那の頭をぐしゃぐしゃと撫でて出て行く。昨日は、見送りに玄関まで

行ったのだが、ロックオンが動けないから部屋から出ようとしない。バルトフェルトのほ

うは仕事が残っているとかで、屋敷の地下へ戻って行った。前回、ここで訓練をする時も

、バルトフェルトが換装の手配をしていたから、実質の地下の責任者は、彼であるらしい



「キラから届いたゲームな、本体がないんだ。ノートパソコンでできるヤツがあるかもし

れないけど、俺も、そこまで確認してない。」

 一応、キラからの届物についても説明したが、別に興味はないらしい。それなら風呂に

入れ、と、命じて、着替えの準備をしてやろうと思ったら、刹那が、ベッドから起き上が

ったロックオンを、ばふんと倒す。

「安静っていうのは、別にベッドで寝てろってことじゃないぞ? 」

 絶対安静と言い渡されたわけではないので、部屋を動くぐらいは問題はないのだが、そ

れすら断固阻止という態度だ。

「着替え、わかるのか? パジャマだぞ? 上下揃ってる柄のやつ。」

 刹那がパジャマを着ている姿なんて拝んだことがない。たぶん、こいつ、パジャマとい

うものを着たことなどないだろう、というのが、ロックオンの見解で、だから、パジャマ

を用意してやろうと思ったのだ。

「ちょっと、揃えて持ってきてみな、刹那。」

 動かしてもらえないなら、運ばせるか、と、命じてみたら、やっぱり、トンチンカンな

組み合わせを運んできた。根本的に、刹那はおしゃれというものに興味がない。

「黄色のストライプと赤って、どんな組み合わせだよ? 黄色のストライプなら、黄色の

ストライプのパンツを持って来い。それから、トランクスもだっっ。・・・・・・だあー

ーーっっ、だからな、なんで、トランクスが青なんだよっっ。透けるだろうがっっ。」

 自分で選んで用意したほうが、何倍か早いのだが、起き上がろうとすると押さえ込まれ

るので、いろいろ指示を出して、用意させる。どうにか色の合うものが用意できたのだが

、たぶん、クローゼットは、めちゃめちゃになっているはずだ。

・・・・・風呂に入っている間に片付けるか・・・・・

 とりあえず、風呂に追いやったが、カラスの行水で出てきた刹那を叱り飛ばして、身体

を洗わせたり髪の毛を拭いたりしていたら、かなり疲れてきた。

・・・・これはこれで、いいリハビリじゃねぇーか? ・・・・・・

 疲れた、と、ベッドに潜り込んだら、刹那が、ベッドの横に立っているので、それも呼

び寄せた。広いベッドなので、ふたりでもせせこましいことはない。


「それは、パジャマだから脱げっっ。」

「・・・・・・・」

「それは、寝る時だけなんだ。あーしまうなよっっ。ランドリーボックスに放り込め。・

・・・・それから、服を持って来な。みてやるから。ついでに、俺の着替えも、だ、刹那

。」

 目が覚めてから、ベッドから離れられたのは洗面所への往復のみで、着替えの用意をし

ようとしたら、刹那に睨まれた。とはいうものの、やっぱり世話は焼かなくてはならない

ので、ベッドに起き上がって、指示を出す。言われたことは、その通り、実行はしてくれ

るのだが、ファッションセンスを期待してはいけない。

「やっぱりか・・・・・その色合いは、本当に正しいと思うのか? 刹那。」

「・・・・・・・・」

 青と赤という思いっ切りな配色の上下というのは、どういうことだろう、と、思うが、

刹那の顔には、「着れれば、なんだって一緒」 と、書いてある。よくよく考えたら、刹

那が組織に入ってから買い物に連れ出していたのは自分だったし、服を選んでいたのも自

分だ。刹那が、自分で選んだことは、ほとんどない。

「えーっと、あのな、服の配色っていうのがあってな。・・・・・いや、もう、俺がやる

から、どけっっ。」

 結局、自分でやったほうが早い、と、手を出してしまうから、こうなるのだと、わかっ

ているのだが、改まらない。刹那の着替えを手早く選んで手渡した。

「俺、シャワーを浴びるから。」

 昨日は、午後からひっくり返ってしまって、風呂どころではなかった。汗もかいている

ので、ざっと流すだけ流そうとしたら、刹那がついてくる。

「何? 」

「・・・・・・・・・」

「流すだけだから、のぼせたりしない。さっさと、おまえも着替えろ。」

 俺は、カルガモの雛でも連れているのか? と、ロックオンが自問するほど、刹那が離

れなくなってしまった。さすがに、トイレの中までは付いてこないが、それ以外は、付い

てくる。シャワーブースへ入ったら、とりあえず、その外の浴槽の縁に着替えを置いて服

を脱いでいたりする。

 一日は安静に、と、医者が余計なことを言うので、出窓から庭へ降りようとしても、刹

那に止められる。

「いい加減、喋れよ。」

「・・・・・・・・」

 やっぱり、刹那は無言だ。喋れないということではない。キラたち他の人間には、ちゃ

んと相槌を打っていた。とりあえず、ロックオンにだけは無言であるらしい。
 返事は期待しないので、昨日、借り出してきた本を読むことにした。そうなると、と

なりの無言猫はやることがない。ぼーっとして、それから、出窓の外の芝生を、ぷいぷい

と抜き出した。

「こら、それは芝生だから雑草じゃない。抜くな。暇なら、トレーニングするなり、散歩

するなりすればいいだろう。」

 そう言うと、いきなり腕立て伏せを始めているのが素直だと思う。これで、暇つぶしは

できるだろうと、読書に集中しようとしたら、表からの扉がノックされた。途端に、刹那

が扉へ向かって行って声を出す。たまに、屋敷の人間が、掃除やベッドメイクなんていう

細々とした仕事に現れる。今日も、そんなところだと、ロックオンは無視していたが、

「ふぎっっ。」 という声で振り向いた。

「よおう、おまえさんがロックオン? そんで、こっちが、せつニャンだな? ・・・・
作品名:こらぼでほすと 再会2 作家名:篠義