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「楽園の作り方」7

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そう言って、またすたすたと歩き出す。
置いて行かれないよう、俺も急いで後を追いかけた。



エレベーターに乗り込み、上階のボタンを押す。
気詰まりな沈黙の中、ソウイチさんがぽつりと、

「昨日、『アヤネ』の婚約者が18になった」
「え?あ」
「今日、婚約披露だ。場所は、このホテル。あの子は、ぎりぎりまでお前といたかったんだな」


『じゃあね、カイト。元気で』


そう言って、マスターは笑った。
何もかも、一人で背負って。


「俺は、何があってもマスターのそばにいます」

俺の言葉に、ソウイチさんは黙って頷いた。




エレベーターを降り、ソウイチさんの後ろについていく。
宴会場なのか、大きな扉が並ぶ前を通り過ぎると、

「あら、遅刻ですよ、ソウイチ叔父様」

不意に、ナツキさんが遮るように立っていた。
微笑みながら、ソウイチさんから俺へと視線を移し、

「叔父様、困りますわ。荷物は、クロークに預けてくださらないと」
「なっ!」
「アヤネを助けにきた」

ソウイチさんが、俺を手で制しながら、ぶっきらぼうに言う。
ナツキさんは、困ったように笑って、

「人聞きの悪いことをおっしゃらないで。まるで、私たちがあの子を虐めてるみたい。私たち、あの子を大事に扱ってきましたわ。アヤネだって、今日を楽しみにしていたのに」
「そうかよ。生憎と俺は、自分で確かめないと気が済まない質でね」

一歩踏み出したソウイチさんを、ナツキさんが遮る。

「これ以上は、人を呼びますよ?」
「呼ぶつもりなら、最初からそうしてるだろ。騒ぎになったら、困るのはそっちじゃないのか?」

ナツキさんは、冷ややかな目で、ソウイチさんを睨みつけると、

「お祖父様の顔に泥を塗る気ですか?随分、恥知らずな振る舞いですこと」
「そうだな。残念なことに、俺は、出来損ないの恥知らずだからな」

肩を竦めてみせるソウイチさんに、ナツキさんが手を振りあげた。あっと思った瞬間、ソウイチさんがナツキさんの腕をつかんで、捻りあげる。
ソウイチさんは、俺の方に顔を向けると、

「悪いが、ここから先はお前一人で行ってくれ。俺は、可愛い姪と話があるから」
「離しなさい!人を呼びますよ!」
「この先、突き当たりのドアだ。アヤネを連れて、ロビーまで来てくれ」
「あ、わ、分かりましたっ」

足早に、ソウイチさんの横をすり抜けた時、

「頼んだぞ、カイト」

初めて、名前を呼ばれた。
振り向きたい衝動を抑えて、突き当たりの扉へと向かう。
作品名:「楽園の作り方」7 作家名:シャオ