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こらぼでほすと 再会6

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どう見ても、堅気じゃない格好だったから、たぶん、その周辺のサービス関係だろうと、グラハムは当たりをつけた。しかし、見当たらない。

「どういうことだろうな? ビリー。」

 うーん、と、職場の端末で、そこいらの店の情報を操作していたグラハムは、友人にアドバイスしろ、とばかりI詰め寄る。

「そう言われてもねー、亜麻色の髪にスミレ色の瞳のキラという女神というだけじゃ情報が少なすぎるよ。写真があれば、すぐに検索できるんだけど。」

「すまない、ビリー。あまりの運命の出会いに、そんなものは忘れていた。」

 ユニオンのトップファイターで上級大尉なんて地位にある友人は、どこかがおかしい。もしかして、フラッグの激しい耐Gのお陰で、頭のピンが二本ばかり抜けているのではないか、と、いぶかしんでいるビリーだ。

「だが、どこかで聞いた名前だったんだ。」

 うっとりと、何度も自分の妄想ビジョンで再生しているらしいグラハムは笑っている。いや、もう。怖いから、どっか行って? とか、言いたくなる。

「キラ? キラねぇー。きみの業界で、キラと言えば、アレだね? 『白い悪魔』 」

 パタパタとキーボードで、それらを検索すると、その情報は出て来る。いや、公式には公開されていないが、それなりのものは、ネットにはある。過去、あまりにもお騒がせで有名なMSと、そのパイロットだ。

「そういや、このキラも、亜麻色の髪にスミレ色の瞳だ。」

「どれっっ、見せろっっ。・・・・・ああ、マイプレジャアー。」

「げっっ、当たり? うわぁー、すごいものを見つけたねぇー、グラハム。わかったんなら、告白でも、デートの誘いでもできるだろ? さあ、行って。」

 もう、五月蝿いからどっか行け、という意味のことをソフトに言うと、こういうことになる。だが、ビリーは教えなかったことがある。そのキラは、公式には、あれから一切顔を出していないし、生存しているかも判らないほど深く潜行していることを。

 しかし、そこは、ユニオンの上級大尉様だ。ラクス・クラインの営む店を発見するのに時間はかからなかった。

・・・・・ふふふふふ・・・・これで、きみと劇的な再会ができるよ、キラ・・・・・・

 店の入り口付近に佇むグラハムは、夕闇の時間にクラブの扉を開こうとした。だが、鍵がかかっていて入れない。定休日だったか、と、翌日、出直したが、やっぱり開かない。

「さすが、私の女神。運命の出会いは、私に試練を与えている。」

 あーいいねーポジィティブシンキングで。と、ビリーなら笑ってくれるだろう。だが、誰もいないので、とても寒い光景ではあった。


 上級大尉様は、それから一週間通い続けたが、店が開くことはなかった。

そう、ちょうど、その一週間というのは、オーナーが休むと宣言した週だったからだ。


 『吉祥富貴』のメンバーは、一週間の休暇と相成った。バイト組は、適当に出入りするが、本職組は、別荘で、のんびり滞在することになった。夕食の席で、本職組とマイスター四人とが顔を揃えることができた。ついでに飛び入りで、カガリが顔を出したので、双子が揃って、席につく。

「そう言われて見れば、似てるか? 」

 髪の色と瞳の色が、まったく違うので、印象は違うものになっているが、造作からすれば似ているかもしれないな、とか、ロックオンは思う。本日から、とりあえず、八戒の手伝いを始めることにしたので、普段着にエプロンという、まさに、おかんな格好のロックオンだ。

「キラは、てっきり一人っ子だと思ってたよ。いいね? おねーさんがいて。」

 もちろん、アレルヤも働いている。子猫二匹に関しては、迷惑にならないようなことをさせている。とりあえずは、お運びさんだ。

「うん、カガリは、自慢の姉なんだよ。」

「こらこら、キラ、なんだ? なんか欲しいもんでもあるのか? おねーちゃんに言ってみろ。」

「別にないよ。カガリこそ、今年は、何がいい? 」

「後で言うよ。刹那、こっちに来い。私たちの間に座れ。」

 自ら弟バカと公言して憚らないカガリは、キラがちょっとでも嬉しいことを言ってくれるだけで上機嫌だ。

「でも、いいんですか? カガリさん。キサカさんが・・・」

 食事の席には、同席していないが、キサカが一緒に訪問している。スケジュールとか大丈夫なのか? と、八戒は心配する。一国の責任者ともなると、プライベートな時間なんてないに等しいだろう。

「大丈夫だ。刹那、食べたら、またゲームしような? 」

「まあ、いいんじゃねぇーの? 当人が、ああなんだから。」

「マズけりゃ、キサカさんが強制退去させるよ、八戒さん。」

 悟浄とハイネは、のんびりと席について食事を待っている状態だ。おかんが二人もいれば手伝いはいらないだろう、ということらしい。

「ティエリア、それは、そこへ置け。こら、そこっっ、刹那、キラ、カガリ、つまみ食いするな。」

 やっぱり動いているほうがいいらしい。料理の合間に、ロックオンは、子供組の注意をして、また、サラダの作成に戻る。

・・・・・リハビリというよりは・・・・・

 八戒は、その様子に、くくくくっと笑いを零した。子猫たちの世話があるから、おちおち寝てられないという気持ちが、身体も動かすのだと、ロックオンを見ているとわかる。日曜日までには、リハビリ組も、どうにかなりそうだ。

「ねぇ、アスランは? 」

「ラボにいるぜ。」

 アスランは、午後から、せつせとラボで仕事に勤しんでいる。それが、日曜日のことでなかったら、大切な奥さんを置き去りにするよなことはしなかっただろうが、日曜のことなので、真面目に働いている。ハイネも、それなりの分担は貰っているが、一日あれば、できそうな軽作業だ。

「そろそろ呼ぶ? 」

「いや、今、たぶん、佳境だから、後でキラが持っていってやれよ。」

「うん。」

 ハイネも、八戒から、その話は聞かされていたので、さりげなく、バカップルの距離を離すようにしている。

「はい、できましたよ。いただきましょう。」

 八戒の号令で、和やかな食事は、始まった。



 ほぼ、食べ終えた頃に、カガリは時計を見て、「そろそろだな。」 と、携帯で連絡をする。すると、キサカがやってくる。それから、キラの肩をぽんと叩いた。

「うに? 」

「キラ、今年のおねーちゃんのお願いは、今から、24時間の交代だ。キサカ、今から、キラが、カガリだからな。ちゃんと胸も作れよ。いくらなんでも、私はぺちゃんこじゃないからな。」

 ひょいっと持ち上げられたキラは、キサカに、「え? え?・・・・えええええええーーーー」 と、自分の不幸を訴えたが、見て見ぬフリで担がれてしまった。

「大丈夫だ。今から飛べば、間に合う。・・・・笑ってたらいいからな。喋らなくてもいい仕事だから。じゃあ、おねーちゃんは、ゆっくりさせてもらうぞ? キラ。」

 バイバーイと手を振って、キラを見送ると、カガリは、何もなかったように席に座った。

「ちょっと無理があるんじゃないのか? カガリ。」
作品名:こらぼでほすと 再会6 作家名:篠義