こらぼでほすと 再会6
「別に大袈裟なものじゃありませんから。ああ、ティエリア、橘様がいらっしゃいますのでね。ご挨拶だけはしてくださいね。」
「・・・・・わかった。」
渋々とは言え、ティエリアも従う。さすがに、歌姫様には逆らえないらしい。
「ねーねー、刹那の誕生日は、いつ? 」
「四月。」
「あ、過ぎちゃったんだね。じゃあ、来年から、お祝いしようね? 」
「俺はいい。ロックオンが三月だ。」
「ふーん、じゃ、三月と四月の間は、刹那たちが『吉祥富貴』でお祝いできるように、紛争を止めておかないとね。」
あーまた、なんかややこしいこと言いやがったぞ、この電波天然、と、ロックオンが、頬を引き攣らせる。
「あら、それはよろしいですわね、キラ。では、私くしが・・・」
歌姫様は、すでに、そのつもりらしいが、キラのほうが笑顔で止めた。実のところ、キラは、すでに、AEUにティエティエちゃん一号と、人革連に、アレハレちゃん一号、ユニオンに、せつせつちゃん一号というウイルスを送り込んで固定してある。僕の子猫を泣かせたなあーーという報復であるらしい。
「大丈夫、ラクス。一ヶ月くらいなら、情報操作できるから。この前、送ったのに、ロクロクちゃんを乗せれば完璧。」
「ロクロクちゃん? ああ、全制御型の? 」
「うん、あれ。へへへへ・・・・たまには、趣味も役に立つよね? 」
なんか、やな予感がしつつ、ロックオンも聞かずにはおれない。キラが優秀だとは聞いているが、そんな素振りは、未だ嘗て見たことがないからだ。
「なあ、キラ、そのロクロクちゃんって? なに? 」
「僕の作ったプログラムだよ、ロックオンさん。それで、僕が先に送り込んでたウイルスの起動を制御できるんだ。だから、ロクロクちゃんで、少し起動させて脅せばオッケー? みたいな。あと、ロクロクちゃんは、全部に送り込んでしまうから、リンクして情報操作も簡単になるんだ。」
「全部って? 」
「だから、地球と宇宙にあるマザー全部? 」
なんか、とんでもないことを言っているが、深く聞くのはやめとこうと思った。ついでに、ヴェーダちゃんにも送るからね、とか付け足されて、ティエリアも頬が引き攣った。
「でもね、一ヶ月くらいしか保たないんだよね? 僕の忍耐が。」
もしかして、忍耐力があったら、ヴェーダも真っ青なことができるんじゃねぇーのか?とも思ったが、それも口に出来なかった。
「だからね、刹那。組織に戻っても、三月と四月は、僕と遊ぼうね? 」
「まあ、キラったら。本当に、刹那がお気に入りですわね。ほほほほほ。」
ニコニコと笑っているキラと歌姫に、ティエリアは、ぎゅっとロックオンの腕にしがみついているし、アレルヤは背後に隠れている。なんか怖すぎる内容が、ほのぼのと語られている気がする。
『吉祥富貴』 は、普通じゃない。奇跡の生還者様が集っているだけではない。たぶん、本気で怒ったら、世界を支配できるかもしれない生き物が、わんさかいるらしい。
作品名:こらぼでほすと 再会6 作家名:篠義